開封動画でおなじみの大人気YouTuber、プロデュースしたスマホケースに“パクリ”疑惑

人気YouTuberがリスクを犯し、コピー品を販売するか?

 他の有名YouTuberたちも8〜9月頃から、現行のPITAKA社のスマホケースをレビューしているようであるが、PITAKAが声明で言及するYouTuberたちと比べ、「Unbox Therapy」の方が知名度が高く、「Unbox Therapy」が(他のYouTuberの動画を通じて)PITAKAのケースを認知していない可能性があることも頭に留めておくべきだろう。加えて、「Unbox Therapy」にPITAKAの送ったケースが到着したのは今年11月27日とされているので、PITAKA社が送ったものを元に真似したという説明は不可能だ。

 それと同時に「Unbox Therapy」がPITAKAのケースを以前から知っていたという可能性も当然ながら否定できない。さらには、PITAKA自身がこれまでにもコピー製品が存在したことや、「サプライヤーが横流し」(leakage from our suppliers)していたことがあると言っているように、PITAKA製のものではない類似ケースを目にして似たものを作ったことも考えられる。

 だが、果たして「Unbox Therapy」はPITAKAのケースを真似しようとしたのだろうか。筆者としては、「Unbox Therapy」が意図的にPITAKAのケースをコピーしたという説に関しては、現時点でさらなる証拠がない限りは怪しむべきだと考える。

 ケースが酷似している点は紛れもない事実だが、カーボンファイバー的なパターンが人気であることは、スマホケースのみならず腕時計、ヘッドホン、マルチツールなど様々なジャンルの製品にまで多用されていることからもわかる。そしてイチからミニマリスティックなスマホケースを作ろうとしたとして、開口部やスマホレンズ部を守る突起部の形が似てくるのは必然的だ。

 また、Lew Laterでの説明が事実であれば、PITAKAとはケース作りのコンセプトからしてミニマルであるという点以外は大きく異なり、実際のLatercaseとPITAKAのケースは細部、手触り、つけ心地などは大きく異なるはずだ。

 炎上することを期待して類似するデザインが存在することを知りながら意図的に意匠を変えずに販売した可能性はあるかもしれないが、そもそも一日1.38万ドル(Naibuzz見積もりによる。記事執筆時レートで約150万円)も稼ぐような有名YouTubeチャンネルが、わざわざ非難や訴訟を起こされるリスクを犯してコピー品を販売するだろうか。

 今後この件がどう発展するかは気になるところであるが、いずれにせよこの件はLatercaseにもPITAKAにとっても良い宣伝になったことだけは確かだろう。

■Yu Ando
フィンランド在住フリーライター。執筆分野は、エンタメ、ガジェット、サイエンスから、社会福祉やアートに文化、更にはオカルト系まで幅広い。ライター業の傍らアート活動も行っているほか、フィン・日両国の文化を紹介する講演を行うことも。趣味はガジェットへの散財。
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