人気YouTuber・水溜りボンドはなぜ“動き続ける”のか 鈴木おさむ脚本のコント動画から考察

 人気YouTuberコンビの水溜りボンドが、今年の夏も「やってんな」という活躍ぶりを見せている。水溜りボンドといえば、2015年1月1日の初投稿より、365日毎日動画投稿を続けている“努力のYouTuber”。それが夏休みともなれば、1日2本、3本……と配信数を一気に増やしてくる。トミーとカンタ、ふたりの1日は本当に私たちと同じ24時間なのだろうかと、思わず首をかしげたくなるほどだ。

 視聴者にとって今や夏の風物詩といっても過言ではない「無人島企画」シリーズ。自分たちの手で寝床を確保し、食料を探して歩き回る。寒さ、暑さ、空腹……クーラーの効いた部屋で、いつでもコンビニがある生活に慣れきった現代人にとって、新鮮な発見の連続だ。そして困難に直面しながらも、笑い合える仲間がいる幸せを再確認することもできる。大人になってしまったかつての子どもたちにとっても胸が熱くなるシリーズだ。

 さらに、昨年からはトミーが「いつもの水溜りボンドとは違うものを作りたい」「“これがYouTubeにのっちゃうの?“っていうのをやりたい」と、大型企画を企てる。そして、有限実行の男・トミーは、草なぎ剛、ベッキー、ぁぃぁぃなど豪華なメンバーの出演を決めてくる。さらに、人気YouTuberたちもこのお祭り騒ぎに、こぞって参加。超豪華な『夏休みスペシャル』となった。

 夏にピッタリなホラードラマもゾクゾクしたが、多くの映画・ドラマで主演を務めてきた草なぎが見せた迫真の演技こそ鳥肌ものだった。さらに、水溜りボンドをモデルにしたアニメ動画も。YouTube動画の枠を広げていく。水溜りボンドの夏休み動画には、そんな挑戦を感じることができる。

 そして今夏、彼らが挑戦したのは脚本家・鈴木おさむによるコント動画だ。もともとお笑いサークルで知り合ったトミーとカンタ。コント動画はお馴染みだろうと思ったが、意外にも他の人が書いた台本で演るというのは初。しかも、これまで水溜りボンドのコントは舞台がメインだったため、テレビコントを多く手がけてきた鈴木おさむとのコラボレーションは、また彼らにとって大きな一歩となった。

水溜りコント『お化けYouTuberレイくん』

 8月20日に時間差で配信された3本のコント動画「YouTuberレイくん」は、それぞれ1発撮りの見事な仕上がり。かねてからイジられてきたカンタのサイコっぷりが存分に生かされた、幽霊のキャラもファンにはたまらない設定だ。もし、トミーがカンタと出会わず、1人でYouTuberになっていたら……なパラレルワールド的な世界観も、いわゆる「いつもの水溜りボンドとは違うものを作りたい」という夏休みスペシャルならでは。2人らしい小気味いい会話劇にはアドリブも多く、素で笑ってしまっているところは、こちらもついつられて頬が緩む。

 そして今夏も、豪華ゲストのサプライズは健在。3本目の動画に、GENERATIONS from EXILE TRIBEのパフォーマー、白濱亜嵐と小森隼が登場したのだ。彼らがYouTube動画に出演するのは初だというから、なんとも贅沢な気分になる。鈴木おさむが脚本を手がけている『GENERATIONS高校TV』(AbemaTV)で、バラエティスキル磨きに勤しんできた白濱と小森だけあって、水溜りボンドの2人とのすれ違いコントっぷりは、ぜひご覧いただきたい。GENERATIONS from EXILE TRIBEのファンは水溜りボンドの面白さを、水溜りボンドのファンはGENERATIONS from EXILE TRIBEのダンスのうまさと気さくさを知るいい機会にもなったのではないだろうか。

 「台本は5ページくらい」「“ここ自由ね“ってところもたくさんあって楽しかった」「でも(素で笑いすぎて)水溜りボンドになっちゃったらダメだから……」など、動画の合間には生配信まで行ない、舞台裏トークまで繰り広げるトミーとカンタ。「1回しか見ないと気づかないかも」「3分35秒のところ面白いから」とお気に入りシーンの解説までされたら、何度も見たくなってしまう。そうして見返している間に、また次の動画が配信される。水溜りボンドを追っていれば、退屈している暇なんてないのだ。

関連記事