LGBTQのYouTuber、コンテンツの扱いを巡ってGoogle相手に集団訴訟

 LGBTQといわれる性的マイノリティのユーチューバーが、差別的な扱いを受けたとして、YouTubeと親会社のGoogleを相手取り、8月13日に米カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所で集団訴訟を提起したことが分かった。

原告とYouTubeの主張が真っ向から対立

 原告側は「2016年以降YouTubeとGoogleが違法なコンテンツ規則、配信、収益化を行い、LGBTQやそのコミュニティを制限し、収益化を阻止し、汚名を着せ、金銭的損害を与えた」と主張。「GoogleとYouTubeはLGBTQのコンテンツを、その内容ではなく、同性愛者と特定できた人物が投稿・閲覧をしていることを理由に『衝撃的、不適切、攻撃的、性的に露骨なコンテンツだ』と決めつけている。YouTubeは、カリフォルニア州法の下で保護された人々を傷つける差別的、反競争的、違法な行為を行なっている」と指摘した。

 これに対し、YouTubeのスポークスマンは同14日「非常に多くのLGBTQクリエイターが、ストーリーを共有し、コミュニティを構築する場所としてYouTubeを選んだことを誇りに思います。当社のポリシーには、性的指向や性同一性という概念はありません。当社のシステムは、これらの要因やゲイ、トランスジェンダーなどの用語に基づいて動画の制限や収益化停止を行うことはありません」と声明を出した。

 双方の言い分が食い違っているが、Cnetは「ビデオから広告を削除する収益化停止については、長年にわたってYouTubeユーザーの間で議論されてきた」と指摘している(参考:https://www.cnet.com/news/lgbtq-youtubers-sue-google/)。6月には、著名なYouTuberが同性愛者のジャーナリストに嫌がらせをしたことが問題化したが、YouTube側はそのチャンネルを削除しないと決定。LGBTQコミュニティの怒りを呼び、YouTubeのスーザン・ウォシッキーCEOが謝罪していた。

動画内容ではなく偏見による「非収益化」?

 この訴訟の原告団は、GNews!、ブリア・カム・アンド・クリッシー・チャンバーズ(BriaAndChrissy)、チェイス・ロス(uppercaseCHASE1)、リンゼー・アマー(Queer Kid Stuff)、アンプ・ソマーズ(Watts The Safeword)というクリエイターからなる。8月14日にその一人であるチェイス・ロス氏が動画を投稿し、訴訟に至った理由について「私たちコミュニティが検閲されないようにするためです」と語った。

 『Forbes』は、YouTubeが新しいチャンネル登録者獲得を妨げているため、広告収入が減っているという「GNews!」(同性愛者カップルが運営している)の例を紹介。また2017年にYouTubeがLGBTQの広告を「衝撃的なコンテンツ」として禁止した、という例にも触れた(参考:https://www.forbes.com/sites/rachelsandler/2019/08/14/lgbtq-creators-sue-youtube-for-alleged-discrimination/#452ead5f788e)。

 『Variety』はYouTubeがLGBTQクリエイターの動画をレコメンドから排除し、再生回数を抑制している、という原告団の主張を伝えている(参考:https://variety.com/2019/digital/news/lgbtq-youtube-lawsuit-1203302184/)。

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