ファーウェイがアフリカで政府のスパイ支援? 反政府勢力の動き封じ込める
中国の大手通信機器メーカー・ファーウェイ(華為)が、アフリカのウガンダ・ザンビア政府が国内で行なうスパイ活動を支援している、との報道が過熱している。
実績あるアフリカで一線を越える、ファーウェイは否定
元々ファーウェイは、アフリカ等の開発途上地域で政府向けに監視やセキュリティーに用いられるビデオ監視システムや顔認証システムといった機器の販売実績が豊富だ。しかし、政府の情報当局の要請を受け、ファーウェイの従業員が一線を越えて、同社のテクノロジーやイスラエル製のスパイウエア等を用いて通信アプリを傍受し、反政府勢力の動きを封じ込めていたことを『ウォール・ストリート・ジャーナル』が8月14日に報道した。
『ウォール・ストリート・ジャーナル』はこのことについて、「ビデオやインターネット、携帯電話メタデータの監視は国家安全保障の取り組みとしては、ごく一般的だが、治安当局関係者によると、ファーウェイの場合は、当局の情報部門等に直接トレーニングを施しており、かなり踏み込んだ関与を行っている」と報じた(参考:https://www.wsj.com/articles/huawei-technicians-helped-african-governments-spy-on-political-opponents-11565793017)。
反政府コンサート未遂で多数の検挙者、当局が事前に察知
33年間、ヨウェリ・ムセベニ政権が続くウガンダでは、ラッパーで政治家のボビ・ワイン氏のゲリラライブに11人の政治家が登場し、ヨウェリ・ムセベニ大統領の退陣を要求する段取りになっていた。しかし、当局は、通常の音楽コンサートと異なる政治集会であることを突き止め、参加者を一網打尽にした。会場に向かっている途中に身柄を拘束された関係者もおり、恐ろしいくらいの手際の良さだった。
当局は、ワイン氏がWhatsappやSkypeといった通信アプリで交わしたやり取りの暗号解読に成功し、反政府勢力の動きを把握していたという。ワイン氏は逮捕され、頭蓋骨が欠けるほどの暴行を受けた。何ら予告もなかった政治集会や登壇予定者詳細を嗅ぎ付けられたボビ・ワイン氏は、スパイされていることを確信したそうだ。逮捕された多くの支援者の裁判は今も続いており、ウガンダの野党議員であるボビ・ワイン氏は、アメリカを訪れ、複数の米国議員の支援を取り付けたという。
ファーウェイは「そのような行為をする契約も能力もなく、一切関与していない」と主張しており、ウガンダ政府のオフウォノ・オポンド報道官も、通信傍受について「詳しい情報を公表することはできない」と声明を出している。