トップゲーム実況者の時給は550万円!? 拡大するゲーム実況市場はStadiaによって変革するか

 好きなゲームをプレイして稼ぐことができるゲーム実況者は、ゲーマーが憧れる職業のひとつかも知れない。こうしたゲーム実況者の懐事情を推測させる数値が報じられた。その数値とは、短期間で大成功したあのゲームに関わるものだ。

プロモーションは大成功

 ビジネス系ニュースメディア『Inc.』は20日、トップクラスのゲーム実況者の報酬に関する記事を公開した。この記事は、2月にリリースされてから短期間で「フォートナイトキラー」としての地位を不動のものとしたバトロワゲーム『Apex Legends』のプロモーションに協力したゲーム実況者の報酬を明らかにしたのだ。

 同ゲームのプロモーションには、フォートナイトの実況動画で有名なNinjaをはじめとした12人のトップゲーム実況者が参加した(トップ画像はNinja)。彼らには、最高で時給5万ドル(約550万円)の報酬が支払われたという。もっとも、同ゲームを提供しているEAは、彼らへの支払いなど気にならないほどの成功を収めた。同ゲームはリリース初日で100万回ダウンロードされ、基本プレイ無料で課金もキャラクターの見た目を変えるスキンだけだったにも関わらず(現在はバトルパスも購入できる)、2月末には9,000万ドル(約99億円)の収益を得たのだった。

 以上のプロモーションについて報じたゲームメディア『KOTAKU』の記事は、現在のゲーム業界ではゲームメディアよりゲーム実況者によるプロモーションのほうが価値がある、と指摘するマーケティング会社GamesightのCEOであるAdam Lieb氏の発言を伝えている。ゲーム実況視聴者には、ゲームメディアよりゲーム実況者の方が正直で信頼できるように思われるからだ。ただし、実のところ、ゲーム実況者がプロモーションの一環でゲームをプレイする時はゲームを非難しない契約を結ぶことが慣例となっている、とKOTAKUは伝えている。

成長するゲーム実況市場

 今やゲーム文化の重要な一部であるゲーム実況の市場は、成長傾向にある。ゲーミングPCの販売と組み立てを行うWePCは、近年のゲーム実況市場に関する統計値をまとめた記事を公表している。その公表によると、世界のゲーム実況市場の規模は2016年には44億ドル(約4,800億円)だったのに対して2019年には約1.3倍の59億ドル(約6,500億円)となる見込みだ(下のグラフ参照)。

画像出典:WePC「2019 Video Game Industry Statistics, Trends & Data」

 ゲーム実況に使われるプラットフォームは、YouTubeとTwitchの2強体制となっている。YouTubeは周知のようにGoogleが運営しているのに対してTwitchは2014年以降Amazonの傘下となっており、ゲーム実況においてもGAFAが世界を支配する構図となっている。視聴者数はYouTubeが2017年時点で44%を占めて1位である一方で、収益はTwitchのほうが多く全体の54%を占めている。Twitchのほうが収益が多い理由として考えられるのが、動画ひとつ当たりの同時接続数の違いだ。2017年時点でTwitch動画の同時接続数が平均して70万を超えているのに対し、YouTubeは30万前後に留まっている。こうした統計値から、YouTubeはライトなゲーム視聴者を広く集めており、対してTwitchは熱狂的な視聴者層を抱えていると言えるかも知れない。

 実況動画において人気のゲームは、2018年3月時点では予想通りフォートナイトが1位であり、League of Legends、PUBGと続く。フォートナイトに関しては、2019年時点でも1位の座を守っている。

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