Netflix、「E3」参加決定で「テレビショーに命を吹き込む」事業が本格化?

映像とゲームの境界を越境するNetflix

 オリジナルコンテンツを大量に配信して動画ストリーミングサービスの新しい波を作ったと言えるNetflixは、実のところ、ゲームとも浅はかならぬ関係がある。同社とゲームとの関係を語るうえで避けられないのが、同社が配信したインタラクティブ映画である。

 インタラクティブ映画とは、映像コンテンツを視聴中に視聴者が選択肢を選ぶことによって、ストーリー展開が変わるコンテンツのことである。言わばアドベンチャーゲームの実写版のようなものである。このジャンルのコンテンツには『ブラック・ミラー: バンダースナッチ』や『You vs. Wild -究極のサバイバル術-』がある。とくに前者は、ストーリー自体がゲームをテーマとしているため興味深い。2018年に配信が開始した『ブラック・ミラー: バンダースナッチ』は、1984年に生きる主人公のゲームプログラマーがゲームブック「バンダースナッチ」のゲーム化を進めるうちにパラレルリアリティと現実の境界が曖昧になる、というもの。こうしたメインストーリーはあるものも、視聴者の選択によって異なるエンディングを迎えることとなり、違うエンディングを視聴するためには同コンテンツを「やり込む」ことが必要になる。

 また、映画メディア『Slash Film』は先月、Netflixがゲームシリーズ「ウィッチャー」をテーマにしたオリジナルコンテンツを今年の10月以降に配信することを報じている。同シリーズの3作目にあたる『ウィッチャー3 ワイルドハント』は、全世界で1,000万本を売り上げるほどのヒットを記録し、日本でも高い評価を得た。映像コンテンツでは、主人公のゲラルトを映画『マン・オブ・スティール』『ジャスティス・リーグ』でスーパーマン役を務めたヘンリー・カヴィルが演じる。

 以上のように、Netflixは映像とゲームの境界を越境して事業を展開するポテンシャルが十分すぎる程あるのだ。今年のE3の目玉は、もしかしたら同社の発表になるかも知れない。

■吉本幸記
テクノロジー系記事を執筆するフリーライター。VR/AR、AI関連の記事の執筆経験があるほか、テック系企業の動向を考察する記事も執筆している。Twitter:@kohkiyoshi 

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