日本企業の中国進出に朗報? アリババ新サービスで越境EC市場はますます好調に

天猫国際のサイトページ

 アリババ・グループは、これまでも淘宝網(TaoBao)、天猫(Tmall)、支付宝(Alipay)、盒馬鮮生、無人レストランなどさまざまな形態のサービスを世に送り出し、その都度、話題をさらっている。天猫国際とは、アリババ・グループが運営する越境EC専門のサイトで、出店条件が高く、商品品質への保証も徹底しているので、ECサイトにおいても「天猫」のブランド力が高く評価されているようだ。

 このアリババ・グループの名を世界に知らしめたのは、今ではすっかり定着した中国最大の越境ECのイベントである11月11日のシングルデー商戦と言える。ちなみに、シングルデー商品は、海外の正規品を安く購入できるとして若者を中心に人気となり、今では毎年恒例のECショッピングにおけるビッグイベントになっている。

 さて、今回、天猫国際の新たなサービスとして紹介されたソリューションの一つ、TOF(Tmall Overseas Fulfillment/天猫海外フルフィルメント)は、一言でいうなら、海外企業に対して、「受注、梱包、発送、受け渡し、代金回収」までの一連の業務サービスを提供することだ。

 これにより、海外企業は、会社の規模に関わらず、低リスク&低コストで少量の商品を販売することができるようになるが、少量販売ができるということは、例えば、中国市場に本格参入する前のマーケティングとして、ターゲットとする消費者の嗜好をリサーチでき、商品データの分析も可能ということになるというメリットがある。

 もう一つのソリューションであるCIP(Centralized Import Procurement/海外一括仕入れサービス)は、アリババ・グループが海外6カ所に設立した物流センターを活用し、アリババ・グループが取り扱う全ての商品を世界各地から一括して調達するシステムサービスのことだ。アリババ・グループが運営するオンラインショップ以外、リアル店舗で販売する商品も一括して調達することで、海外企業は、アリババ・グループのプラットフォームを利用し、約7億人のアクティブユーザーに自社商品のアプローチをすることが可能となる。

淘宝のセレクトショップ(オンラインとオフラインの連携)

 この2つのソリューションが海外企業の中国市場への参入を支援するサービスとして、国内外の企業からの関心が高い。

 ところで、こうした支援サービスは、消費者にとってどのようなメリットがあるのだろうか?

 知名度よりも品質を重視する消費傾向にある現在の市場に対応して、商品購入の豊富な選択肢は、消費者の満足度を高めることができる。

 消費者ニーズも多様化し、越境ECを活用する消費者の中で、“ブランド”よりも、より“高品質”、より“安全”な商品を求める声も多く聞こえる。現地に行かずとも、安心&安全、そして手軽に商品を入手できるシステムは、消費者にとっても価値が大きい。

 アリババ・グループは、これまでも市場消費をリードする斬新なサービスを次々と打ち出してきたが、「革新的」な戦略を継続提供していくことで、ますます存在感を強め、中国市場で優位にたつことができるとも言える。

 将来的にもオンラインとオフラインの融合による販売戦略は、アリババ・グループが考えるソリューションビジネスの重要なポイントになるだろう。

参考:https://www.alibabagroup.com/cn/news/article?news=p190321a
https://www.tmall.com/

■フライメディア
株式会社フライメディアは映像制作を中心に、海外、主に中国、台湾、香港のリサーチ、撮影コーディネーションサービスを提供中。現地情報を詳細に解説している。https://flymedia.co.jp/

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