Twitter、リプライの色分け含む新機能テストを近日中に開始 ハートマークの非表示も実装?

 主要SNSとして不動の地位を確立しているTwitterは、近日中に大胆なUI変更を伴う新機能のテストを実施する。テスト内容には、ハートマークやリツイートを非表示にすることも含まれている。こうした新機能テストの実施には、長寿アプリだからこそ避けて通れない理由があるようだ。

チャットの促進を図る新機能

 日本版Engadgetは11日、Twitterが新機能のテストするユーザを募集していることを報じた。この新機能テストは、同社の製品管理ディレクターを務めるSara haider 氏が8日、世界最大の家電見本市CES2019の会場においてUS版Engadgetのインタビューで答えたことで明らかになった。同氏によると、計画中のテストではテストユーザに守秘義務を課すことはなく、新機能について自由にツイートしてもらうようにする、とのこと。

 同氏は新機能の詳細については語らなかったが、日本版Engadgetは同社の予告等にもとづいて、新機能を以下のようにまとめている。

・オンライン状態表示:ユーザがTwitterを使用中であることを知らせる表示
・ステータス更新:ユーザの状況を伝える新しい欄。イベントに参加中といった一定期間続く状況を報告できる。
・アイスブレーカー・ツイート:会話のきっかけとなるようなツイートの表示
・リプライの表示改善:フォロワーのリプライは色付きで表示する等の工夫をする。

 以上のような新機能について、同メディアは「チャットアプリのように使ってほしい」という同社の意図がうかがえる、とコメントしている。

大胆なUI変更

 US版TechCrunchは14日、新機能テストに関してSara haider 氏にインタビューした記事を公開した。その記事では、同氏が見せた表示改善されたリプライ画面の画像が掲載された(トップ画像参照)。その画像を見る限りでは色に応じてリプライが3種類に分けられており、同氏によるとツイートしたユーザのリプライ、フォロワーのそれ、そしてフォロワーでないユーザのそれが視覚的に区別できるようになる。

 UIの変更は、リプライ表示の改善にとどまらない。テストバージョンでは、ツイートに対して「いいね」を伝えるハートマーク、さらにはリツイートのボタンを非表示にすることも試される(下の画像参照)。非表示にされたこれらのマークは、「いいね」やリツイートを求めてる設定にしているユーザのツイートをタップした時にのみ表示されるようになるようだ。このテスト仕様は、裏を返せば、「いいね」とリツイートを求めない、あるいは気にしたくないというTwitterの新しい使い方を提案するものでもある。

画像出典:US版TechCrunch「A first look at Twitter’s new beta app and its bid to remain ‘valuable and relevant’」

 ハートマークに関しては、実のところ、その廃止が議論されたことがあるのだ。この議論については、国内テック系メディア『ITMedia NEWS』が昨年10月末に報じている。その報道によれば、ハートマークの是非が問われた背景として、一部の若年層ユーザに見られる「いいね稼ぎ」のためにツイートしたり、逆に「いいね」が付かないとツイートを削除する風潮が「SNS中毒」を助長する要因になっていることが指摘されている。

成長が鈍化するTwitter

 US版TechCrunchの記事では、Twitter社が新機能テストを実施する理由についても言及している。そうした理由として、Twitterのデイリーアクティブユーザ(日々のユーザ数)は増えているものも、マンスリーアクティブユーザ(月間のユーザ数)は直近1年近くの期間において横ばいか微減が続いていることが指摘されている。つまり、同アプリの長期的成長が鈍化しているというわけなのだ。

 同アプリの統計情報に関しては、国内アプリレビューサイト『アプリ部』が昨年10月にまとめ記事を公開している。その記事では、年齢層で見た同アプリのユーザ分布は10代が20%で20代が32%であり、このふたつの年齢層がメインユーザであることが伝えられている。前述の日本版Engadgetの記事で指摘された「チャットアプリのように使ってほしい」という意図が読み取れるテスト機能は、こうした若年のメインユーザを意識したものと言えるかも知れない。この世代のユーザはLINEのようなチャットアプリをスマホを持ち始めた頃から利用しているので、Twitterでもチャット的な交流が可能となることをむしろ歓迎するのではないかと推測される。

 以上に解説したテスト機能が、実際にTwitterに実装されるどうかは現時点では定かではない。しかし、Twitterのような「長寿アプリ」は常に時代とともに変わり続けることが求められていることは確かであろう。

トップ画像出典:US版TechCrunch「A first look at Twitter’s new beta app and its bid to remain ‘valuable and relevant’」より画像引用

■吉本幸記
テクノロジー系記事を執筆するフリーライター。VR/AR、AI関連の記事の執筆経験があるほか、テック系企業の動向を考察する記事も執筆している。Twitter:@kohkiyoshi

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