【『Fallout 76』プレイレポ】減点法ではなく加点法で評価したいRPG
〈Almost heaven, West Virginia〉(まるで天国のような場所、ウェストバージニア)
2076年、かつてジョン・デンバーが名曲「カントリー・ロード」で歌ったウェストバージニアは、すっかり死体とガラクタと放射能だらけの地獄になっていた。川は汚染され、山はミュータントの巣となり、主人を失ったロボットたちはみんなHAL9000よろしく発狂している。このウェストバージニア州アパラチアの地上には、もはや1人の人間も残されていない。ただし、ついこの間、開放されたVault76からやってきた青いスーツのお友達を除いて……。
この記事では核戦争後の世界を生き抜くオープンワールドRPG『Fallout 76』のプレイレポートをお届けする。
核戦争後の世界を生き抜け
ポストアポカリプスを生き抜くアクションRPG
本作『Fallout 76』の基本的なゲームシステムは、2015年に発売された『Fallout 4』をベースとしている。銃、バット、釘バット、あるいはノコギリ刃付きバット、プレイヤーは好きな武器を携えて荒廃しきったアメリカの大地を彷徨い、生き延びるためにあちこちの建物を物色する。
アパラチアは広大だが、そのどこへ行っても放射能で変異した凶暴なミュータントや発狂したロボットが襲いかかってくる。そんな時は自分の力だけで立ち向かうのもいいが、自動で照準を定めてくれるV.A.T.S.を駆使してミュータントの頭を吹き飛ばしてやろう。
プレイヤーは一応の目的として“アパラチア再建”を任されているが、どうせ生存者もいないので自由に生きて問題ない。
PERKシステムについて
『Fallout』シリーズでは、S.P.E.C.I.A.Lと呼ばれる7つの基本ステータスのほかに、PERKというスキルが存在する(たとえば“Iron Stomach”というPERKを取得すると、汚染された食料を食べても病気になりにくくなる)。過酷な世界でサバイブするには、PERKの助けは必要不可欠だ。
『Fallout 76』ではPERKをカード形式で管理するようになった。PERKカードはレベルアップ時と、定期的にもらえるPERKカードパックの開封で手に入れられる。こんな紙ぺら1枚でも生死に関わってくるのだから、舐めてはいけない。
グロテスクな『どうぶつの森』=『fallout76』
巨大ゴキブリや巨大サソリ、ゾンビのような化け物にスーパーミュータントその他諸々の怪物と戦う点以外は、『Fallout 76』は生活を楽しむゲームだ。腹が減ったら食事をし、喉が渇けば水を飲む。どんな場所でも拠点にできるC.A.M.P.で、自分好みの家を作るのも悪くない。見た目が物騒すぎる点を加味しなければ、本作は『どうぶつの森』と似ていなくもない。
手に入れた食料を食べると、ライフを回復したりステータスに良い影響を与えられる。ただし、生肉をそのまま食べたり川の水を直接飲んだりすれば、あっという間に放射能でオダブツだ(そうでなくても突然変異で腕が3本になったりするだろう)。汚い水は煮沸消毒してから飲もう、肉は焼いてから食べよう。蛮族はこの世界では生き残れない。
マルチプレイに対応
ソロでは厳しい難易度
本作はオンライン専用ゲームであり、プレイヤーは毎ゲームごとに最大24人が入れるサーバーに放り込まれる。この24人までという人数設定が絶妙で、普通にプレイしているとなかなか他人とすれ違わない。
ただ、他プレイヤーはマップ上で白い点として表示されるので、チームを組んで遊びたいときはプレイヤーが集中している地点にファストトラベルで近づける。
オンライン専用タイトルだけあって、ソロでの進行はなかなか難易度が高い(不可能ではないが)。過去作と違ってV.A.T.S.の使用中や、アイテム選択中も時間が止まらないため、1人での戦闘はほんとうに辛くなっている。できることなら頼れる仲間を見つけたい。
オンラインだからこそ生まれる偶然性
筆者がこの記事を書くために『Fallout 76』にログインした直後、ワールド内に“核攻撃が行われます。近くの人は避難してください”といったアナウンスが流れた。
本作では難易度は高いものの、決められたアイテムを揃えて所定のイベントをこなすことで核攻撃を行えるのだ。そのときに核攻撃を行ったのは、ワールド内にいた高レベルの外国人グループだった。
そして興味本位で、核攻撃を行ったグループに近づいてみたところ、彼らは大声で核爆発のカウントダウンをしていた。
3,2,1、ィィイイイヤッッフゥゥゥゥー!!! という彼らのボイスチャットと共に、手元のデュアルショックが震え、爆音が響く。
こうして私は、“核攻撃を目撃した一般人”になった。こんな風にして、1人プレイのゲームではありえない、巻きこまれる体験を味わえるのが『Fallout 76』の大きな魅力だ。