“あの人のゲームヒストリー”第三回:山田裕貴

山田裕貴が語る、大切なゲームの存在 「作品に入り込めるようになったのはゲームのおかげ」

 10月5日より全国ロードショーの映画『あの頃、君を追いかけた』。本作において主演を務めるのが、山田裕貴だ。現在、若手演技派俳優として脚光を浴びている山田だが、実は、『ファイナルファンタジー』(以下、FF)、『実況パワフルプロ野球』(以下、パワプロ)、『モンスターハンター』(以下、モンハン)などのシリーズをこよなく愛する、無類のゲーム好きということはあまり知られていない。今回は、山田のゲームについてのこだわりを掘り下げて聞き、その知られざる一面に迫ってみた。

「『本当にあったら』と、リアルに考えられるように」


ーーまず、山田さんがゲームにハマるきっかけになった作品を教えてください。

山田裕貴(以下:山田):小学1年生の頃、初代の『バイオハザード』をプレイしたことですね。めちゃくちゃ怖かったんですけど、友達5人くらい集まって家で毛布被りながら「うわー!」とか言いながらやっていました(笑)。多分そこで、ゲームの面白さに目覚めたんだと思います。そこから、『FF』や『ドラゴンクエスト』もそうですし、『パワプロ』や『モンハン』、『メタルギア』シリーズ、『キングダムハーツ』シリーズと、いまも追いかけている作品がたくさんありますね。

ーーTwitterで「『FF』に出会わなければここまで強くなれなかった」とつぶやいていましたが、これまでにプレイしたタイトルは?

山田:『IV』のリメイク、『Vll』『Vlll』『X』『Xll』『Xlll』『XV』をプレイしました。『FF』は敵味方関係なく、魅力的なキャラクターが多いんですよね。一人ひとりが本当に生きているような感覚というか……いろんな登場人物に本気で感情移入できるんです。仲間が死んでしまうときなんかは、「次、どうすりゃいいんだろ……」「めっちゃ頼りにしてたのに……」「このパーティーにコイツいなくなったらどうするんだよ!」「エアリス!! え!?」(※『Vll』に登場するキャラクター)みたいに、本当にショックを受けたりします(笑)。

ーーなるほど。各キャラクターに感情移入することで、多くの出来事を体験しているような感覚なんですね。だから、現実にも強くなれると。

山田:そうなんです。現実世界ではありえないくらい、辛い思いをしている人たちって、『FF』のなかにたくさんいません? もちろん、創作された物語ではあるんですけど、本当にこんなことが起こったら……って考えてしまうんです。例えば『XV』だったら、主人公のノクティスがいない間に、国が滅ぼされていたりするじゃないですか。自分がいない間に、日本が滅んで、友だちがいなくなってしまったらーー『FF』の世界に没入することで、「そんなことあるわけないじゃん」ではなく、「本当にあったら」と、リアルに考えられるようになりましたね。

ーードラマや映画の役作りにもつながっていそうです。

山田:そうですね。『XV』をプレイしていた時なんか、本当に熱中してストーリーに入り込みすぎていて、ラストにノクティスの「俺、お前らのこと好きだわ」というセリフがあるんですけど、それを先読みして同じことを言っていたんです。「とうとうここまで来たか!」と思いましたね(笑)。

ーーある意味で、ノクティスという“役”を深く理解していたということですよね。

山田:というのも、発売が10年越しだったじゃないですか(※2006年にトレイラーが発表され、実際に発売されたのは2016年だった)。だからめっちゃ待っていて、しかも発売された11月がちょうど映画の撮影で忙しい時期だったので、ずっとプレイできなかったんです。それで、正月休みにやっと開封して、実家にも帰らず延々とプレイしていたから、本当に没入したんですよね。

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