『ロックマン』30周年記念ライブレポート 容量の制限から解放されたサウンドの鮮やかさに酔い痺れる

 ライブパートの2曲目は『ロックマン』シリーズから「ブリザードマン ステージ」(『ロックマン6』)、「スプラッシュウーマン ステージ」(『ロックマン9』)、「スネークマン ステージ」(『ロックマン3』)をメドレーとして選出。特に評価の高い「スネークマンステージ」のアレンジでは、特徴的なイントロをメリハリの効いたサックスが見事に再現していた。

 続く3曲目は10月4日に発売される新作『ロックマン11』から「Fuse Man Stage」を先行でお披露目。ギターが主体で盛り上げつつ、サビでは一気にシンセサイザーがたたみかけるという曲展開で、これを聴きながらゲーム本編を遊べる日が待ち遠しくなったファンも少なくないはずだろう。なお、土屋氏がライブの特設サイトにてセットリストを掲載する際、サウンドコンポーザーに「曲名を教えて」と聞くと「いやいや、『Fuse Man Stage』ですよ。ファミコン時代の『ロックマン』って曲名がそのままステージ名じゃないですか」と言われ、膝を叩いたというエピソードも披露された。

 2度目のトークパートでは、『ロックマン』『ロックマン2』のサウンドを担当した松前真奈美氏(写真右から2番目)と、『ロックマンエグゼ2』(および『~3』)や『流星のロックマン』シリーズにてサウンドを手がけた青木佳乃氏(写真左から2番目)が登場。松前氏は制作時の苦労エピソードとして、「アップテンポでノリが良いロック系の曲を作ろうという印象を受けたのが『ロックマン』サウンドの始まりだと思ってます。ファミコンなので3音+ノイズ1音という4音でしか曲を作れなかったので、いろんなことをしなきゃいけなかったのはすごく大変でしたし、データの容量も微々たる部分しか回ってこないので、短いフレーズを繰り返すことにしたんです」と語ったあと、「繰り返して口ずさめる曲作りが『ロックマン11』まで続いているのは本当に嬉しいことだと思いました」と、現行スタッフに感謝を述べた。

 また、青木氏はプレイステーション用レースゲーム『ロックマン バトル&チェイス』にて、シリーズのヒロインであるロールのエンディングテーマ「風よ伝えて…」のボーカルを担当しており、ウッチー氏からのリクエストによって1フレーズを特別に披露。一曲通して聴いてみたいほどの美麗な歌声に、客席からは割れんばかりの大きな拍手が送られた。

 前半の締めくくりのライブパートでは『ロックマン』から「カットマン ステージ」と、現在でも続編を待望しているファンを持つ『ロックマンDASH 鋼の冒険心』から「フラッター号 VS ゲゼルシャフト号」を続けて演奏。ミドルテンポなメロディで、これまでの盛り上がりをクールダウンさせるような清涼感を与えていた。

 ライブ後半の幕開けでは、ファッション雑誌『EYESCREAM』にてゲームの連載記事を担当しているほどのゲーム好きであるヒップホップグループ「KICK THE CAN CREW」のMCU氏が登場。キャラクターのフォルムに魅了されて『ロックマン』のファンになったというMCU氏は『ロックマン2』に深い思い入れがあり、好きするがゆえに「Dr.ワイリー Stage1」をアレンジして作ってしまったというラップを披露。これからもシリーズが続くことを期待し、「2億18万年まで『ロックマン』をみんなで楽しめたらいいなと思います」と、コメントした。

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