まったく新しい映画体験にSTU48も興奮! 東映×VAIO×クラフターによる「映画館でVR!」

 日本初のエンターテインメント「映画館でVR!」。世界中でいま大きな注目を集めている「VR(バーチャル・リアリティ)」を映画館で楽しむことができる「VRCC(VR Cinematic Consortium)」のことだ。そのVRCCを共同開発している東映株式会社(以下東映)、VAIO株式会社(以下VAIO)、株式会社クラフター(以下クラフター)の3社が、6月26日に新宿バルト9で「VRCC事業概要・コンテンツ発表会」を行い、それぞれの代表が登壇した。さらに、STU48の石田みなみ、今村美月、田中皓子、土路生優里、薮下楓らがVRCCを体験し、その感想を語った。

 東映の取締役企画調整部長の村松秀信氏は、映画業界の現状を解説したのち、「今の時代、映画は自宅でも気軽に楽しめるものだからこそ、映画館でしかできない体験、つまり“体感型シアター”のニーズが高まっていると考えている」とコメント。さらに東映ならではの強みとして、最先端映像製作技術を持っていることや、グループ会社がアニメーションなど豊富なIPを持っていること、劇場へのデジタル導入のパイオニアであることなどを挙げ、「これまでにないVR体験を」と力強く語った。

 次に登壇したVAIOの執行役員副社長の赤羽良介氏は、VR映画事業を手がける理由として「映画館には、多人数での同時VR体験の魅力の潜在性がある」と話し、「VRCCが提供するVRシステムは、まだ第1歩を踏み出したに過ぎない。VR体験の質の向上と、劇場導入・コンテンツ製作がより易しくなることを目指して、今後も取り組んでいきます」と語る。

 最後に登壇したクラフターの代表取締役社長の古田彰一氏は、新たなVRヘッドについて「イヤホンがいらないものとなっているのがポイント」と語る。映画作品の音響体験と同時に、劇場内の音も楽しむことができるのだという。例えば、ホラー作品であれば周囲の観客の悲鳴など、コメディ作品であれば周囲の笑い声などを聴くことができるというのだ。これにより「劇場内での一体感を得ることができるのです」と古田氏は語る。

 続いて古田氏は、コンテンツ第1弾は『夏をやりなおす』『おそ松さんVR』『evangelion:Another Impact(VR)』の、アニメーションVR映画の短編3本立てであることを明かした。一般客向けの先行体験上映は7月2日より開始され、場所は新宿バルト9のシアター7で、大人・小人一律1,500円で上記の作品を楽しむことができる。「未来へのチケットを手にしていただきたいと思っています」と古田氏は締めた。

 「今後はどのような作品制作を考えていますか」という記者からの質問に対し、東映の村松氏は「特撮やアニメーションを中心に、ファミリーピクチャーを作っていきたいと考えています。今は30分ほどが限界ですが、90分の作品や120分の作品の一部分だけにVRを採用することも視野に入れています」と答えた。


 そして、STU48の5人が登場。実際にVRヘッドを装着し、初めての経験に興奮の声を上げていた。彼女たちの鑑賞する作品は『夏をやりなおす』で、鑑賞中は「わあ!近い!」「すごい!」といった声が飛び交い、びっくりさせるようなシーンでは大きな悲鳴が上がっった。VRヘッドを装着したままキョロキョロする姿や、手を伸ばしたりする姿が見受けられた。

 鑑賞後の感想で、司会からVRならではの面白さを聞かれると、「360°に作品の世界が広がっているので、逃れられない」といった声が上がる。さらに、映画館でVRを体験する面白さについては、「(夏が舞台の作品なので)、セミの声とかがあちこちから聴こえてきて、自分が本当にその世界の中にいると感じられた。そして映画館だと周りにみんがいるので、悲鳴を上げたりしながら一緒に体験できる」などの声が上がり、今後どんな作品を観てみたいかという質問には「お洋服が好きなので、ファッションショーの映画でランウェイを歩きたいです」などの返答があった。また、STU48は瀬戸内海で船に乗ってのライブ活動を予定しているために、「ライブ映画などで、船に乗りながらライブを観ている感覚をお伝えしたいなと思います」と語った。

 最後には3社の代表とSTU48のメンバーとのフォトセッションがあり、会見後にはマスコミ陣も実際にVR体験。『夏をやりなおす』を鑑賞し、場内には少なからず興奮の色が広がる。ショッキングなシーンでは、周囲から息をつまらせているような気配も伝わってきて、たった6分弱の作品ながら筆者自身も初めての経験に、鑑賞後もなかなか余韻から抜け出せないでいる。この夏、熱い大きな注目を集めることになりそうだ。

(取材・文・写真=折田侑駿)

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