『クレイフェイス』は間違いなく“ロマンス映画”だ 人間を怪物に変えてしまう“歪んだ愛”

いきなり映画と遠い話題で恐縮だが、PENICILLIN(ペニシリン)というバンドの「ロマンス」という曲がある。私が小学6年生くらいの頃の曲だ。当時の私は、傑作ギャグ漫画をアニメ化した『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』の主題歌として、この曲を歌詞の意味を考えずにキャッキャしていたが、40の現在になってみると人生の真理を歌っていたなと思う。どういうことか? つまり「愛に気付いてください」という感じになると、「壊れてしまった、バランスが崩れた」となり、最後は「僕は君を見失う」。恋心が伝わらないせいでメンタルが乱れ、時に暴走する。恋愛にはそういう側面が確かに存在する。
『クレイフェイス』(2026年)も、そういう心が“ペニシリンモード”になってしまった男の物語だ。これはホラーだが、同時に歪んだロマンチック恋模様である。
新進気鋭の映画スター、マット・ヘーゲン(トム・リス・ハリス)は、地元のゴッサム・シティでマフィアに顔面を切り刻まれる。周囲に見捨てられ、金を搾り取られ、整形手術を何度も受けるが顔面も治らなかった。ドン底のマットは、最先端の再生治療を研究するケイトリン・コー博士(ナオミ・アッキー)と出会う。彼女は病の弟を救うために研究を始めたが、出資者の裏切りで研究を断念する寸前だった。マットは人体実験を申し出て、ケイトリンは未完成な技術で彼を治療する。治療は順調に進み、ふたりの心は近づいていく。しかしケイトリンには婚約者がいた。そしてマットの心身に異常が出始めて……。
クレイフェイスは『バットマン』に登場する悪役だ。全身が粘土のようで、老若男女問わず、自分の好きな姿に一瞬で変身できる能力を持っている。本作は悲劇の青年マットが、怪物クレイフェイスになっていく物語だ。そんなわけで人体がグチャグチャドロドロである。マットの顔がドロドロに溶けだすビジュアルはもちろん、R15は伊達ではなく、思わず観ているこっちの全身がこわばるような「痛い」シーンも続出。予告でも使われている、くっついてしまった目の周りの皮膚をハサミで切るシーンは、メジャー映画とは思えないほどキッチリと痛い(本編で最もスリリング)。一方、マットが能力を駆使して、悪党どもに復讐を果たすシーンは、悪役誕生の物語に相応しい、悪のヒーロー的な爽快感がある。ど真ん中のホラー映画である本作だが、それでもこの映画は恋愛映画である。あらすじでも書いたマットとケイトリンの恋愛こそが、本作の肝だと断言したい。























