『ゴジラ-0.0』は“究極の怪獣映画” 『ALWAYS 三丁目の夕日』以来のリアリティが結実

 巨大生物どうしのバトルはもちろん、巨大生物によって蹂躙される人々や家々の描写のリアルさも、恐怖を倍加させる。2体のうちの1体の巨大生物が繰り出す不思議な力によって、住んでいる人ごと家が空中に引っ張り上げられては、崩壊しながら落下していき地面と激突して粉々になる場面。眼前に巨大生物の顔が迫って、そのまま食われる場面。そのリアルな映像が、そこに自分にいると思わせ恐怖を感じさせる。

 『ジュブナイル』(2000年)や『リターナー』(2002年)といったSF作品を撮っていた山崎監督が、企画制作会社のROBOTを創業したプロデューサーの阿部秀司の説得を受け入れ、現実を舞台にした『ALWAYS 三丁目の夕日』を作ってから21年。同じように、『永遠の0』(2013年)、『アルキメデスの大戦』(2019年)といった、現実を舞台としたVFX映画のシリーズで培ってきた、リアルさを追求することで説得力を持った世界を作り出すVFXの技が、究極にして至高の怪獣アクションを実現させた。

 『ゴジラ-0.0』では、そうした迫真のVFXが、1945年8月6日に広島で起こった惨劇も、今の時代にリアリティを持ったかたちで見せる。『ゴジラ-0.0』から新しく登場するキャラクターで、田中泯が演じる村上寛治という老学者が、原爆投下直後の広島で見た悲惨としか言いようのない光景が描かれる。

 崩れた家々や、熱線でやけどを負った人々も衝撃的だが、村上が焼け落ちた家で見た家族の変わり果てた姿には誰もが息をのむ。

 そのシーンから感じ取れるのは、大きくは戦争によってもたらされる悲劇への憤りだが、村上という登場人物や、彼のその周辺で苦しんでいる人々の気持ちになれば、原爆を投下した米国への怒りや憎しみといったものにならざるを得ない。そこで、共感して米国への憤りを募らせる人もいるだろう。省みて戦争の原因はどこにあったのかに思索の網を広げる人もいるだろう。山崎監督の意図がどこにあったかは分からないが、戦争というものについて何かを考えるきっかけになることは確かだ。

 ただし、米国だけは勝手が違う。村上にとって憎しみの対象として名指しされるからだ。前作の『ゴジラ-1.0』がアカデミー賞に輝いたことで、新作の『ゴジラ-0.0』に対する米国の関心には、突出したものがある。その中に、原爆投下に激しく憤り、ある決心までしてしまう村上という人物を登場させたことで、米国の観客が何を思うのかに興味が向かう。

 前作が5700万ドルの興行収入をあげた米国だ。プロデュースする側からすれば、あまり刺激してほしくないマーケットだろう。そうした忖度をせず、広島への原爆投下と、それに対する村上の憤りをストーリーの重要な要素として入れた山崎監督の意図はどこにあるのか。日本公開から間を置かず公開される米国で『ゴジラ-0.0』に対してどのような声が聞かれるのか。そしてアカデミー賞の行方は。

 視覚効果賞を受賞した『ゴジラ-1.0』よりも圧倒的に優れたVFXに溢れた映画だけに、アカデミー賞での扱いは、大いに気になるところだ。

■公開情報
『ゴジラ-0.0』
全国公開中
出演:神木隆之介、浜辺美波、山田裕貴、佐々木蔵之介、國村隼、田中美央、安藤サクラ、長澤まさみ、田中泯、吉岡秀隆
監督・脚本・VFX:山崎貴
音楽:佐藤直紀
製作:東宝
制作プロダクション:TOHOスタジオ、ROBOT
VFX:白組
©2026 TOHO
公式サイト:https://godzilla-minuszero.toho-movie.jp/
公式X(旧Twitter):https://x.com/g_minus_zero

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