遠藤憲一が『ブラッサム』で表現する二面性 イメージに縛られない“コワモテ俳優”の真骨頂

遠藤憲一が『ブラッサム』で表現する二面性

 では、遠藤憲一のハマり役といえば、なんだろうか。正義感あふれる刑事も、迫力のあるヤクザも、どちらもしっくりくる。それほどまでに、遠藤は幅広い役柄を自分のものにしてきたのだ。コワモテという強烈な個性を持ちながらも、ひとつのイメージには縛られない。ここに、俳優・遠藤憲一の真骨頂がある。

 そんな遠藤にとって『ブラッサム』は、『ロマンス』『てっぱん』『わろてんか』に続き、4度目の朝ドラ出演となる。『てっぱん』で演じたヒロインの父・錠は、遠藤いわく「性格が自分にいちばん近い役」。同作で演じた家族想いの温かい父親は、俳優としての幅を広げるきっかけになったに違いない。

 その後の『わろてんか』でもヒロインの父親を演じたが、キャラクターは大きく異なる。温かみのある錠とは違い、儀兵衛は笑い上戸の娘に「笑い禁止」を命じたり、どちらかというと“冷”の印象が強い人物だった。しかし、その厳格さの裏には、娘への深い愛情が隠されていたのだ。遠藤は、仏頂面の奥から不器用な優しさをにじませることで、一見すると冷たい父親にも、たしかな温もりを宿らせていた。

 同じ父親役でも、『てっぱん』では温かさを前面に出し、『わろてんか』では厳しさの奥に優しさを潜ませる。ラフに演じているように見えて、その裏には人物の内面を丁寧に掘り下げる緻密な役作りがあるのだろう。

 今回の『ブラッサム』で演じる黒崎もまた、二面性を持ち合わせる人物だ。周囲を圧倒するようなエネルギーを持ちながら、その奥には冷静に人を見抜く鋭い感性が宿っている。そんな黒崎の二面性を、遠藤ならきっと巧みに表現してくれるだろう。

 黒崎が珠の才能を見抜いた瞬間、その表情にはどんな変化が訪れるのだろう。豪快な笑顔が消え、鋭い眼差しを向けるのか。それとも、いつもの笑顔に、ほんのわずかな喜びがにじむのか。遠藤がどんな表情でその瞬間を彩るのかが、今から楽しみでならない。

■放送情報
2026年度後期 連続テレビ小説『ブラッサム』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜から金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:石橋静河、高良健吾、金子大地、赤堀雅秋、イッセー尾形、川島潤哉、中村優子、井浦新、遠藤憲一 ほか
作:櫻井剛、小松與志子
主題歌:YOASOBI
制作統括:村山峻平、櫻井壮一
プロデューサー:大野陽平
演出:盆子原誠、中泉慧、佐藤玲衣、田中陽児、小林直毅、野田雄介
写真提供=NHK

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマ」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる