『ゴジラ-0.0』へ至る山崎貴監督の源流 『ALWAYS 三丁目の夕日』のリアリティを分析

 役者では、吉岡が演じる文学青年崩れの茶川が、『北の国から』シリーズのナイーブな少年なり成長して青年なりになった純とはまるで違ったダメ男ぶりを見せてくれる。『ゴジラ-1.0』で吉岡が演じた野田健治ともモジャモジャな髪型は似ているものの、そちらでは割と真面目に技術と向き合いゴジラとの戦いの前線に立つのでやはり違う。見比べると面白い。

 鈴木オート社長役の堤は、元から強面で頑固そうな雰囲気を漂わせている役者だが、『ALWAYS 三丁目の夕日』では直情径行で怒りっぽく、集団就職で入ってきた若い六子がろくに自動車修理の仕事ができないといって怒鳴り散らす。そのパワハラぶりは、昭和時代ならあったかもしれないと思えても、あまり気持ちの良いものではない。ただ、しっかりと名誉挽回の道は作られているから、そこは安心して観ていこう。

 堤が演じる社長の妻役の薬師丸ひろ子や、茶川がいっしょに暮らし始める淳之介(須賀健太)という少年の父親を演じる小日向文世も、役にハマった演技でしっかり目を引く。薬師丸は最新作の『SUKIYAKI 上を向いて歩こう』で坂本九の母親の大島いくを演じ、小日向は日本テレビ系のドラマ『俺たちの箱根駅伝』で芸能界の大物の田村健一郎を演じて、それぞれに存在感を見せている。『ALWAYS 三丁目の夕日』は、そうした役者たちが21年前はどうだったのかを確かめるいい機会だ。

 『ALWAYS 三丁目の夕日』と続編『ALWAYS 続・三丁目の夕日』(2007年)を送り出した山崎監督が、その後『ゴジラ-1.0』へと至るまでに、『永遠の0』(2013年)であったり『アルキメデスの大戦』(2019年)であったりといった、VFXを多用し戦争の歴史とドラマを描く映画を作っててきたことは知られている。ただ、ここではそれまでの間に1作、意外な”戦争もの”を作っていることにも触れておきたい。『BALLAD 名もなき恋のうた』(2009年)だ。

 原恵一監督が手がけたアニメ映画の『クレヨンしんちゃん』シリーズの中でも傑作と名高い、『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』(2002年)を原案としたもので、草彅剛が演じる侍の井尻又兵衛が守る城に、現代から家族がタイムスリップしてきて起こる出来事が描かれる。この映画で山崎監督は、ミニチュアとCGを合成したり、実写にCGを加えたりして戦国時代の城や合戦を描き出した。

 城についても、どこかに残っているものをロケ地として使うのではなく、映画にとってふさわしいものを探求してCGで描きだした。巨大なセットなど組めない予算との兼ね合いももちろんあるが、「頭の中にあるイメージをどう表現するかで一番良いものを使うだけ」という理由から、CGを多用していることも当時のインタビューで話していた(筆者インタビューより)。

 まさに『ALWAYS 三丁目の夕日』でCGのプロペラ飛行機を飛ばした応用だ。その精神と手法が、『ゴジラ-0.0』のミニチュアとセットとVFXという組み合わせによる低コストの映像、そして同作での第96回アカデミー賞におけるアジア映画として初の視覚効果賞獲得へと彼を至らせた。そこへと続く道の始まりとしての『ALWAYS 三丁目の夕日』があるのであり、また次のステップとしての『BALLAD 名もなき恋のうた』も改めて押さえつつ、11月3日に襲来する『ゴジラ-0.0』の映像で、今度は何が行われているのかを確かめよう。

■放送情報
『ALWAYS 三丁目の夕日』
日本テレビ系にて、10月23日(金)21:00〜22:54放送
出演:吉岡秀隆、堤真一、小雪、堀北真希、薬師丸ひろ子ほか
監督:山崎貴
脚本:山崎貴、古沢良太
原作:西岸良平『ALWAYS 三丁目の夕日』(小学館『ビッグコミックオリジナル』連載中)
音楽:佐藤直紀
主題歌:D-51「ALWAYS」
製作総指揮:阿部秀司
©2005「ALWAYS 三丁目の夕日」製作委員会

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