『ポリティカルパン』“弥生”石原さとみが盗んだ“怒りの矛先” SNSに映る世論操作の怖さ

『ポリティカルパン』が盗んだ怒りの矛先

 「甥っ子」は、英語で「nephew」。しかし、この言葉は一部の英語圏の掲示板などでは、少し違った意味を持つという。稚拙な意見を投稿するユーザーに対して、年長者が若者をたしなめるような調子で使われるそうだ。「Delete this, nephew(その投稿を消しな、青二才)」といったように、やや煽りを含んだ限定的なスラングになる。

 『ポリティカルパン』(フジテレビ系)第3話では、選挙に初当選した小早川雅(河合優実)は、まさにベテラン議員たちによって、「nephew」扱いを受ける。本気でこの国の未来を変えたいと乗り込んだ雅だったが、議員として次にどうしたらいいのか、右も左もわからないどころか、全方位わからない。だが、それはこのドラマを見ている私たち視聴者も同じではないか。

当選の先で、雅が直面する政治の現実

 選挙戦を誰が制するのか、その背景にあるドラマや勝敗が決まる場面までは、メディアが熱心に追いかける。でも、いざ選挙が終わった後、国会議員たちがまず何から動き出すのか。その活動を支えるお金はどうなっているのか。ちゃんと知っていると言い切れる人は、決して多くないはず。本来ならば、そこからが肝心な“始まり”なのに。

 そして雅の視点を通じて、私たちも痛感するのだ。小さな新たな風を送り込んだところで、政治の世界は簡単には変わらないのだと。例えば、議員が法律案を出すためには、衆議院では原則として20名以上の賛成者が必要になる。たったひとりで乗り込んでも、横のつながりがなければ、提案することすら難しいというのが現実なのだ。

 しかも、雅は無所属。与党・国自党への入党を断った手前、多くの議員からは見放されている状態。なおかつ野党からは、父親である国自党副総裁・小早川士郎(草刈正雄)に情報が流れかねないと警戒されてしまう。選挙制度の見直しを目指し、議員連盟への参加を呼びかけるポスティングをしてみるも、駆けつけてくれたのはたった1名。それが、宇都宮みさき(美村里江)だった。

 彼女は、女性議員連盟を主催し、女性の政治参画を推進してきた野党第一党・民友党の衆議院議員。まだ議員としては歩き始めたばかりの雅を優しく導く……ように見えたが、やはりそこは政治の世界。雅が今いかに無力かを理解させることで、雅自身が国自党への入党を選ぶように心の風向きを変えていく。そして、それは国自党・経理局長の夏目将門(高橋一生)の差し金でもあった。宇都宮にとっても、夏目の話に乗ることは、自身が通したい「小児及び希少疾患等に係る医療機器等の迅速な開発及び普及の促進に関する特別措置法案」を成立させるための戦略。きっと彼女にとっても積年の思いがあっての行動なのだろう。

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