『ポリティカルパン』“弥生”石原さとみが怪盗としての本領発揮 鮮やかな手口に潜む政治風刺

鮮やかな手口で、スマートに目的を達成する。これぞ、怪盗のなせる技。水10ドラマ『ポリティカルパン』(フジテレビ系)第2話は、如月弥生(石原さとみ)の華麗な変装あり、痛快なすり替えありと、泥棒ならではの“盗み”っぷりでお宝に一歩近づいた。
弥生が盗み出したのは、国自党から県議や市議に配られるはずだった「季節のご挨拶」。中身は、もちろんお金だ。地元企業や有権者にはたらきかけてもらい、票を集めるための手間賃みたいなものだと、国自党・経理局長の夏目(高橋一生)は颯(寛一郎)に説明する。だが、どう考えてもグレーなお金。それは、いつも選挙法にギリギリ引っかからないタイミングでばらまかれてきた。

弥生は仲間を使ってその日時を探り出し、士郎(草刈正雄)の秘書・木内(古舘寛治)が持ち運ぶタイミングを見計らって近づくことに。その出で立ちは優雅にハンバーグを食べに来た淑女。しかし、すれ違い様に車のキーを拝借し、トランクに入っていた「ご挨拶」の封筒ごと颯爽と入れ替えていく手際の良さに惚れ惚れした。
お金の代わりに配られたのは、期限切れの宝くじ。それを「夢の残骸」というのも、なんとも皮肉が効いている。私たちの1票も、夢を託して投じられるもの。お金によって票が動くとするならば、本当に期待を寄せて記入された投票用紙もまた、「夢の残骸」となってしまう。
弥生の真の狙いは、首相官邸内の金庫に眠る官房機密費だ。もともとは国民の血税であるはずのお金を盗み出し、みんなに配りたい。それは、党の好きなように使われているお金を、国民の手に取り戻すという構図にもなる。その本丸に辿り着く前に、まずは「季節のご挨拶」という当たり前のように続いてきた慣習を盗み出すことになった。そうして、颯に投じられるはずだった票をも奪うことに成功した弥生。それは、結果としてお金で票を集める仕組みに、自分も加担している、という颯の後ろめたさも一時的に奪い去ったように思う。

「議会制度で身分制度はない、はずです。だけど、階層の固定化は起こります」。雅が掲げた公約は、世襲の廃止。政治家の子どもが自動的に地盤、看板、カバンを引き継ぐ。それは、颯のように本当はゲームを作る人になりたいという夢を持っていたにもかかわらず、職業選択の自由を奪われる人を思ってのことだった。
そこには雅自身の自由を奪われた“鎖”もあった。ルソーの『社会契約論』を愛読し、政治とはどうあるべきか、人々の自由や権利をどう守るのかを話し合いたいと願う少女だった雅。しかし、小早川家の女は、政治家となる男を支える存在。そんな世襲を前提とした家に生まれたことで、雅も夢を諦めさせられた1人だった。雅だからこそ見えていた、政治家の子どもとして生まれた兄妹の自分たちの解放運動でもあったのだ。



















