『ブラッサム』石橋静河演じる珠は“ギャルマインド”の持ち主? 宇野千代の言葉から紐解く

この自分に暗示をかけるという考え方は、宇野の人生観にも通ずる部分があるような気がする。彼女は「どんな人も美しくなれるし、才能を持っているのよ。“自分は美しい”、“才能がある”と、そう思うことが大事です」と語っていたこともあった。誰かから「美しい」「才能がある」と認められて初めて自信を持つのではなく、まずは自分がそう思ってみる。
また、失恋の乗り越え方にも、ハッとさせられる。「わたしは、たったひとりで、自分ひとりきりで失恋します」「失恋って、当の本人は苦しい苦しいと言っているけれど、本当は終わった恋をいつまでも思い出して楽しんでいるようなところがあると思う。本当に苦しいなら、一秒でも早く忘れる努力をするはずだから」と語っていた宇野。わたしは、「失恋したのだから、しばらくは忘れられなくて当然! カラオケで失恋ソングを歌ってとことん浸るべし」なんて思ってしまうタイプだが、宇野は忘れられる日が来るのをただ待ったりしない。“忘れる”と決めて、気持ちをそちらへ向かわせていくのだ。
恋をするときは「この恋は実る」と信じ、終わったら「忘れる」と決める。宇野にとって自分にかける“暗示”は、人生を望む方向へと動かすための術だったのかもしれない。「幸せだから笑うのではない。笑うから幸せなのだ」と語っていたことを考えると、彼女は生まれつきのポジティブ人間だったわけではなく、「ポジティブになる」と決めて、ポジティブ思考を手に入れた人のように思えてくる。生まれ持った性格はそう簡単に変えることはできない。でも、これならわたしたちでも真似することができそうだ。
「年齢を重ねるということは、決して嫌なことではありません」
この言葉のとおり、宇野は晩年まで現役を貫き、おしゃれを楽しむこともやめなかった。幸せになるのを待つのではなく、自ら幸せになりにいく。それこそが、宇野が生涯貫いてきたギャルマインドだったように思う。そんな宇野のギャルマインドが、『ブラッサム』のヒロイン・珠にも宿っているのだろう。半年後、珠の物語を見届けたわたしたちは、今よりも少しだけギャルマインドを身につけているのかもしれない。
■放送情報
2026年度後期 連続テレビ小説『ブラッサム』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜から金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:石橋静河、加賀まりこ、松たか子、国仲涼子、渡部篤郎ほか
作:櫻井剛、小松與志子
主題歌:YOASOBI
制作統括:村山峻平、櫻井壮一
プロデューサー:大野陽平
演出:盆子原誠、中泉慧、佐藤玲衣、田中陽児、小林直毅、野田雄介
写真提供=NHK





















