『ポリティカルパン』“弥生”石原さとみが怪盗としての本領発揮 鮮やかな手口に潜む政治風刺

そして、「小早川家の兄妹対決」という知名度の高い話題に押されて、弁護士・八巻(吉田ウーロン太)の主張が広く届かなかったという現実もあった。有権者を動かすのは、ストーリーだと、謎の情報屋・乾(渡部篤郎)は言う。「小早川家のバカ娘」というレッテルを貼られた雅が、走ってポスターを貼っていく。そして、実は英語がペラペラの才女であったという物語は、またたく間に注目を集めて、選挙結果にも大きく反映された。もちろん、英語が話せることと、政治家としての力量は別の話だ。それでも、「頭がいい」というわかりやすい記号として広まっていく。一見すると、あまりにも“チョロい”展開。しかし、これがドラマならではの予定調和、とも言い切れないのがまた風刺的だ。

「この人が当選!?」と驚くような展開を迎える選挙が、ニッポニアだけでなく、日本でもあるからだ。人々の関心を引き、話題を集めるのがうまいことが、いい政治家であることとは、必ずしもイコールではない。しかし、現状の選挙ではその人が何を訴えているかよりも、どれだけ人々の関心を引けるかが、票の行方を左右してしまうこともある。もはやまっすぐな主張よりも、どれだけドラマチックに演出するかのほうが大事であるかのようにも見えるほど。八巻の小さな声で語られる真っ当な主張に、未来へ期待を寄せた人もいたはずだ。それでも、大きな声で語られるストーリーに人々は耳を奪われてしまう。
「大切なのはみんなの共通の幸せを探すことで、選挙はそのためのプロセス」雅は当選後の挨拶で、その部分を強調した。勝った負けたではない。自分に票を投じた人たちはもちろん、八巻に、そして颯に投票した人たちも含めて、すべての人の思いをできるだけ抱えて国政に向かう。雅自身の言葉として語られる決意は、選挙の本来の意味を思い返すような1シーンだった。

綺麗事では済まされない。それが政治の世界とは、いつから言われてきたのだろう。その世界を作ったのが人なのだとしたら、その世界を壊して新しい世界を作ることができるのもまた人なのだ。お金だと思ったら葉っぱだった、なんていう昔話があるように、辟易するような世の中を、幻だったかのように変えてしまおうという弥生たち。対して、そんなことはさせまいと現状のルールで煙に巻こうという夏目たち。なんだかタヌキとキツネの化かし合いを見ているような気持ちになる。狐七化け、狸八化け。最後に笑うのは、タヌキかキツネか、それともその先を生きる人間か。
■放送情報
『ポリティカルパン』
フジテレビ系にて、毎週水曜22:00~22:54放送
出演:石原さとみ、高橋一生、河合優実、寛一郎、猫背椿、川西拓実(JO1)、きょん(コットン)、宮本エリアナ、矢野聖人、余貴美子、酒向芳、間宮啓行、岩松了、古舘寛治、草刈正雄、渡部篤郎、チョー、吉田ウーロン太、こたけ正義感 ほか
脚本:野木亜紀子
主題歌:RADWIMPS「娑婆堕罵 -Shabadaba-」(Muzinto Records/EMI)
音楽:岩崎太整 プロデュース:北野拓
制作プロデューサー:白石裕菜 (ホリプロ)、加藤若葉 (ホリプロ)
演出:髙野舞、谷村政樹、及川拓郎
制作協力:ホリプロ
制作・著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/politicalupin/
公式X(旧Twitter):https://x.com/politicalupin




















