『ブラッサム』工藤阿須加が3度目の朝ドラで見せた真骨頂 嫌味のない“誠実さ”が光る

『ブラッサム』工藤阿須加の誠実さ

 NHK連続テレビ小説『ブラッサム』の第12話に、珠(石橋静河)の同僚となる島村辰彦役で工藤阿須加が登場した。

 島村は、広島の学校から赴任してきた教師。「山口に戻ってきました」と言っていたので、地元に戻ってきたようだ。すらりとした高身長で、スーツもよく似合っており、新任の挨拶も爽やか。すぐに先生方にも子どもたちにも人気になりそうである。

 その日、自分の生き方を貫くために東京へ行くという忍(木竜麻生)や嫁入りの化粧をして別人のように綺麗になった梅(松本穂香)に感化された珠は、はじめて化粧をして登校。しかし、教頭の上野(阪田マサノブ)にその姿を改めるよう叱られていた。当時は、化粧をする女性といえば、客に食事や飲み物を給仕しながら、話し相手や酌をするホステスのような接待をするカフェの女給を思い起こさせた。上野は、珠の化粧が学校の先生としてはふさわしくないと言いたいようだ。

 そんな説教を止めてくれたのが島村である。ガミガミと言い続ける上野の話に割って入った島村は、「広島じゃあ、当たり前でしたよ、お化粧」と上野に笑いかけ、同僚の教師や外で働く女性たちはみな、化粧をしており、珠の化粧もおかしいことではないと説得してくれたのだ。しかも、島村は最後に「教頭先生ともなればご承知のこととは思いますが」という一言をさらりと添えた。上野のプライドも壊さず、事態を丸く収める大人の対応だ。

 珠がお礼を言うと、「本当のことを言うたまでです」と返すが、先ほどの堂々とした態度とは一転して、彼女とは目を合わそうとはしない。それでも「それに、よくお似合いですし」と付け加えるあたり、実は照れているのかもしれない。珠は少しハッとした表情を見せた後、「どうも」と返したが嬉しさが隠しきれていないようだった。

 島村を演じる工藤は、本作が『あさが来た』(2015年度後期)、『なつぞら』(2019年度後期)に続く、朝ドラ3作目。島村は珠の初恋の人となるようだが、好青年にこんなにもストレートに褒められたら惚れないわけがない。工藤の演技はいつもこの“まっすぐさ”が印象的である。

 工藤は、9月28日に最終回を迎えたばかりの反町隆史主演ドラマ『GTO』(カンテレ・フジテレビ系)にも宮澤龍之介役で出演。宮澤は誠進学園に出向している職員で、かつての鬼塚(反町隆史)の教え子だった。屋上でタバコを吸っていたり、ときどき暴言を吐くところから、昔は“ワルい”生徒だったのかもしれない。だが、学校での仕事ぶりは至って真面目で誠実。宮澤は生徒の一人である琴音(梶原叶渚)と恋仲になったことが問題視されてしまうのだが、琴音は宮澤に惚れた理由として、やるべき仕事の範疇を超えて剥げてしまったところにペンキを塗ったり、渡り廊下が熱くなりすぎないように水をまいたりしているところが「尊敬できるなって思ったの」と語っている。

 陸上自衛隊の自衛官候補生となり、過酷な訓練を受けながらも成長していく若者たちの姿を描いた『テッパチ!』(2022年/フジテレビ系)では、工藤は、要領が良いクール系のイケメン・風間速人を演じた。風間は何かと女性からモテており、休日は不在にすることが多かったので周囲からは女性とのデートや合コンに勤しんでいるのだと思われていた。しかし実際は、外国の国家元首や国賓などが来日した際、最大限の敬意を表して行われる国家儀式を遂行する特別部隊への異動を目指して、柔道場へ通っていたのである。

 誰に言わずとも、自分の夢の実現や周りにとってプラスとなることを淡々と実行することができる。そんな“まっすぐさ”が際立つキャラクターも、工藤が演じれば嫌味や押し付けがましさが一切なく、ごく自然で応援したくなる人物となるのである。

 『ブラッサム』では、工藤演じる島村は勉強のできる生徒たちが集まる2年1組を担当する。珠は、島村の前任から「1組の邪魔をしないように」と言われていた。珠と島村は同僚の先生としてどのように交流していくのだろうか。その過程で、珠は島村のどんなところに惚れ、どうやって初恋にのめり込んでいくのか。そして、そんな珠の気持ちを受け止める島村を工藤がどう演じていくのか。2人の関係性の変化に注目しながら楽しみにしていたい。

■放送情報
2026年度後期 連続テレビ小説『ブラッサム』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜から金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:石橋静河、加賀まりこ、松たか子、国仲涼子、渡部篤郎ほか
作:櫻井剛、小松與志子
主題歌:YOASOBI
制作統括:村山峻平、櫻井壮一
プロデューサー:大野陽平
演出:盆子原誠、中泉慧、佐藤玲衣、田中陽児、小林直毅、野田雄介
写真提供=NHK

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