宇野維正の映画興行分析
『アベンジャーズ/エンドゲーム:アンコール』好調 MCUが塗り替える興行の慣習
9月最終週の動員ランキングは、前週2位で初登場した『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』が週末3日間で動員24万3000人、興収3億6000万円をあげて、2週目にして初の1位を獲得。公開から10日間の累計動員は149万3700人、累計興収は21億5700万円。
2位は公開10週目の『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』。週末3日間の動員は18万2000人、興収2億8000万円。映画館によっては入場者プレゼント第5弾の配布は終了していたものの、まだまだ競争力を維持している。公開から66日間の累計動員は1155万2800人、累計興収は168億5700万円。『THE FIRST SLAM DUNK』を抜いて、歴代興収ランキングで現在14位につけた。
初登場作品で最上位となる4位には、デヴィッド・エアー監督、ブラッド・ピット主演の『ハート・オブ・ビースト』がランクイン。オープニング3日間の動員13万1000人、興収1億9400万円。最初から最後まで大半のシーンでブラッド・ピットと犬しか出てこない本作、同時期に公開された世界各国でも順調なスタートを記録していて、60代になっても変わらない(今年12月で63歳)ブラッド・ピット人気を証明することとなったが、思わぬライバルとなったのが7年前に公開された『アベンジャーズ/エンドゲーム』のリバイバル上映、『アベンジャーズ/エンドゲーム:アンコール』だ。
タイトルの中に「アンコール」と入っているように、今回の『アベンジャーズ/エンドゲーム:アンコール』は新作(12月18日公開の『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』)の公開を控えた、通常の前作のリバイバル上映とは形態が異なる。一つは、『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』の公開日が『デューン 砂の惑星PART3』と世界的に重なり、IMAXスクリーンを(少なくとも北米では)契約上独占されることになったことで、INFINITY VISIONというディズニー独自の認証による試験上映的な意味合いがあること。もう一つは、ファンから完璧な終わり方と称賛されてきた『アベンジャーズ/エンドゲーム』のラストに、『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』に繋がる追加シーンが加わっていること。
新しい技術ではなく、既存のスクリーンの選定基準でしかないものをINFINITY VISIONと名付けること、まるでストリーミングのプラットフォーム上で新しいバージョンに差し替えるように気楽に多くの人にとっての特別な作品に重大な変更を加えること、いずれも疑問に思うところもあるが、興行的に今回の『アベンジャーズ/エンドゲーム:アンコール』は世界的に大成功。日本でも、先週水曜日の公開日から5日間の公開初日から5日間で興収は4億1600万円と、新作の『ハート・オブ・ビースト』以上の興収をあげている。
さらに、配給はソニー・ピクチャーズだが、同じMCU作品で、先日北米の歴代興収記録を塗り替えたばかりの『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』にも追加シーンを含んだ新バージョン公開の噂(今のところ公式の発表はなし)もあり、今後そうした短期間での新バージョンの公開が常態化しそうな動きもある。
■公開情報
『アベンジャーズ/エンドゲーム:アンコール』
劇場公開中
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©︎2026 MARVEL
『今週の映画ランキング』(興行通信社):https://www.kogyotsushin.com/archives/weekend/