安達祐実、研ナオコらが“別人級”の変貌 『ダウンタイム』で姿を変えた整形患者たち
整形に「見た目を変える」以上の依存性があることを示したのが、鴻池沙良(Kōki)だ。彼女は遠山クリニックのパトロンの孫娘で、凛の手術ミスによって失明した過去を抱えている。沙良は、この医療事故を秘密にする代わりに「凛ちゃんには、死ぬまでこの目の代償を支払わせたい」と告げ、凛を「なんでも聞く」関係へと縛りつけていく。
やがて、この関係に耐えかねた凛が「もうこんな関係はやめましょう」と告げた瞬間、沙良は怒りを含んだ震える声で「ゆるさない、そんなの」と感情をあらわにした。普段はクールで余裕綽々の彼女が、支えを失ったように崩れていく姿は圧巻だった。失明という事実よりも、凛を失うことの方がはるかに致命的であることが、その一瞬の表情からはっきりと伝わってきた。
整形に限らず、人は何かを追い求めると、気づかぬうちに「依存」へと近づいていく。手に入るものより、手に入らないものを追いかけてしまうのはなぜだろう。もし、多くの人が「すでに手にしているもの」に静かに目を向け、凪のように受け止め、小さな幸せや変化に心を満たせるようになったなら。そのときこそ、人は本当の意味で幸せを感じられるのかもしれない。
けれど、人には欲がある。欲があるからこそ動き、迷い、誰かの愛を求め、何かを欲し、そしてときに道を踏み外す。その欲が、いつしか依存へと形を変えたとき、人は簡単に狂ってしまう。どこで折り合いをつけるのか。その境界線を見つけるのは、誰にとっても決して簡単ではない。
本作の中で、忘れられない台詞がある。病気ではない人間にメスを入れられないと主張する文に対し、凛が静かに告げた言葉だ。
「美容医療の世界に、病気じゃない人なんていない」
もっと綺麗になりたい。現状を変えたい。その思い自体は「病気」ではない。しかし、その願いが呪いのように心を蝕み、誰かが救いたいと願うほどの苦しみを生むなら、それはもう立派な「病」なのかもしれない。
『ダウンタイム』の視聴を終えたとき、私はふと自分に問いかけていた。幸せとはなんだろう。自分はどうなりたいのだろう。そして、その問いを落ち着いて考えられた瞬間、私は案外もう幸せなのかもしれないと思った。
ドラマには他にも、二重整形を検討する小学生YouTuber・宝田萌乃(古川凛)や、命の危機に瀕しながらも「シリコンは取りたくない」と懇願する國分佳奈(景井ひな)など、さまざまな人物が登場する。彼らが整形を通じて何を得て、何を失い、どんなその後を迎えるのか。見終えたあなたは、何を感じるだろう。自分も何かを変えたいと思うのか、それとも。気になる方は、ぜひ『ダウンタイム』を観てほしい。きっと、あなた自身の「心の変化」にも静かに気づくはずだから。
■配信情報
Netflixシリーズ『ダウンタイム』
Netflixにて独占配信中
出演:松岡茉優、仲里依紗、間宮祥太朗、田中みな実、萩原利久、長井短、渡辺大知、中川家礼二、シシド・カフカ、城田優、増子直純、武田創世、泉里香、田村健太郎、篠井英介、天野はな、景井ひな、研ナオコ、野呂佳代、古川凛、安達祐実、風間俊介、Kōki,、永作博美、渡部篤郎
監督:Yuki Saito
脚本:池上純哉
プロデューサー:三宅はるえ、茂木克仁
企画プロデューサー:工藤伸一
制作プロダクション:K2 Pictures
企画・製作:Netflix