加害とPTSDに迫る 『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』緊迫の本編映像公開

 現在公開中の塚本晋也監督最新作『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』の本編映像が公開された。

 本作は、ベトナム戦争に従軍したアレン・ネルソンが、自らの戦争体験と帰還後の葛藤を綴ったノンフィクションを原作とするもの。ネルソンはその体験をもとに日本全国で1200回以上の講演を行い、「ほんとうの戦争」を語り続けてきた人物であり、彼の証言をもとに塚本監督が“戦争加害者の傷”というテーマに挑んだ。ニューヨーク、ベトナム、タイ、沖縄の4カ国で撮影を敢行し、先日行われた第83回ヴェネチア国際映画祭でレオンチーノ・ドーロ賞(金の小獅子賞)を日本作品として初めて受賞した。

 貧困や差別から抜け出すために18歳で入隊したアフリカ系アメリカ人のアレン・ネルソン。ベトナムという苛烈な戦地で学んだのはただひとつ、いかに多くの人を殺せるかだった。その対価として得たのは、ごくわずかな賃金とPTSD(戦争後遺症)だけ。23歳で家を追い出され、ホームレスとなったアレンをこの世につなぎ止めたのは、退役軍人病院でカウンセリングを行っていたダニエルズ医師の存在だった。

【緊迫の本篇映像!】映画『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』

 公開されたのは、自らが戦場で奪った命の数について壮年期のアレンが語る本編映像。アカデミー賞俳優ジェフリー・ラッシュ演じるニール・ダニエルズ医師とのカウンセリングを通して、アレンが長年封じ込めてきた戦争の記憶と“加害”に向き合う姿が映し出される。

 塚本監督が本作で描こうとしたのは、戦場で起こる殺戮だけではなく、戦争が終わり兵士が故郷へ戻った後にもその身体と精神の中で戦争が続いていくこと。そして「命令されたから」「戦争だったから」という言葉の奥にある、自らの加害と向き合わなければならない苦しみだ。塚本監督はこれまで、「戦争に行くとこんなことになる。本当に嫌でしょう」と、戦争を国家や英雄の物語ではなく、そこへ送り込まれた“一人の人間”の身体と精神から描くことの重要性を語ってきた。

■公開情報
『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』
kino cinéma 新宿ほかで公開中
出演:ロドニー・ヒックス、ジェフリー・ラッシュ、マーク・マーフィー、リリー・フランキー、タチアナ・アリ
監督・脚本・撮影・編集:塚本晋也
原作:アレン・ネルソン『「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」 ベトナム帰還兵が語る「ほんとうの戦争」』(講談社文庫刊)
参考文献:アレン・ネルソン『戦場で心が壊れて 元海兵隊員の証言』(新日本出版社刊)
配給:キノフィルムズ
提供:木下グループ
©Mr. Nelson, Did You Kill People? Film Partners ©Allen Nelson/KODANSHA
公式サイト:https://nelsonsan.jp/
公式X(旧Twitter):@nelsonsan_movie

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