『豊臣兄弟!』山田涼介が秀次役に起用された理由 悲劇の青年に重なる“華”と“危うさ”
大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK総合)に、いよいよ山田涼介が登場する。演じるのは、秀吉(池松壮亮)の姉・とも(宮澤エマ)の長男であり、のちに豊臣家の後継者となる豊臣秀次。山田にとっては、意外にも今回が初の大河ドラマ出演となる。
『豊臣兄弟!』ではこれまで、秀次は幼名の万丸として登場してきた。幼くして宮部継潤(ドンペイ)のもとへ養子に出され、その後は三好康長(妹尾正文)の養子となる。豊臣家に生まれながら、その時々の事情によって居場所を変えてきた人物だ。
制作統括の松川博敬は、秀次について今後の物語を大きく動かすキーパーソンであることを明かしている。山田の持つ「プリンスらしい気高さ」に加えて、「鋭さや危うさ」が秀次に合っているとも話していた(※1)。
確かに、山田涼介という俳優を考えたとき、この「華」と「危うさ」は大きな特徴のひとつだと思う。山田には、まず画面に現れた瞬間に目を引く華やかさがある。『王様に捧ぐ薬指』(TBS系)で演じた新田東郷や、『ビリオン×スクール』(フジテレビ系)の加賀美零は、その魅力が分かりやすく表れた役だった。どちらも容姿端麗で、自信に満ち、周囲とは少し違う場所に立っている人物。いわゆる“王子様”のような役柄を、これだけ自然に成立させられる俳優はそう多くない。
だが、山田の芝居は華やかさだけでは語れない。完璧に見える人物の中にある不器用さや寂しさ、時には危うさまでを見せてくれる。これまでの出演作を振り返っても、山田はそうした二面性を持つ役を多く演じてきた。『親愛なる僕へ殺意をこめて』(フジテレビ系)では、明るく気弱な大学生・浦島エイジと、彼の中に存在するもうひとつの人格・B一を演じ分けた。同じ顔をしているのに、表情や声のトーン、立ち方までまったく違って見える。その振り幅は、当時観ていてもかなり印象に残った。
原田眞人監督の映画『BAD LANDS バッド・ランズ』では、安藤サクラ演じるネリの弟・ジョー役。子どものような無邪気さを持つ一方で、何をするか分からない怖さもある人物だった。『燃えよ剣』の沖田総司もそうだ。端正でどこか少年らしさを感じさせながら、刀を握れば一気に空気が変わる。山田自身が持つ柔らかさと鋭さが、沖田という人物によく合っていた。
『一次元の挿し木』山田涼介が直面してきた数々の現代的テーマ 情報社会の“リアル”とは
クローン技術とカルトの陰謀をめぐるミステリードラマ『一次元の挿し木』は、存在論を問いかけつつ主人公らの説得力ある行動描写で完成度…そして『豊臣兄弟!』への出演直前まで放送されていたのが、『一次元の挿し木』(読売テレビ・日本テレビ系)だ。山田が演じた七瀬悠は、4年前に失踪した義妹・紫陽(堀田真由)を探し続けている大学院生。200年前の人骨と紫陽のDNAが一致するという不可解な出来事をきっかけに、物語は大きく動き出していく。悠を演じる山田を観ていて印象的だったのは、感情を大きく表に出すというよりも、その奥にずっと何かを抱えているような芝居だった。
作品も役柄もまったく異なるが、内側に危うさを抱えた人物という点では、秀次にもどこか重なるところがある。『豊臣兄弟!』で描かれる秀次は、やりたいことには臆せず手を挙げ、失敗しても悪びれない人物。秀次といえば、その最期も含めて悲劇的な印象を持たれやすいが、本作ではまず、若さゆえの勢いや自信、少し生意気にも映る一面を持った青年として描かれていくことになる。
そこで山田の持つ華やかさがどう生きてくるのかは楽しみにしたい。秀吉の後継者として周囲から見られる立場には、やはり人を惹きつけるだけの存在感が必要になる。一方で、豊臣家の中で自分がどこにいるのか、何を求められているのか。その立場が揺らぎ始めたときには、山田がこれまで見せてきた危うさや脆さが顔を出してくるのかもしれない。制作統括が「豊臣家をかき乱す」存在として秀次を挙げていることを考えても、その“華やかさの奥にある不安定さ”は、物語後半の大きな見どころになるだろう。
参照
※1. https://realsound.jp/movie/2026/09/post-2513720.html
■放送情報
大河ドラマ『豊臣兄弟!』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送/毎週土曜13:05〜再放送
NHK BSにて、毎週日曜18:00〜放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15〜放送/毎週日曜18:00〜再放送
出演:仲野太賀、池松壮亮、吉岡里帆、浜辺美波、白石聖、坂井真紀、宮澤エマ、倉沢杏菜
大東駿介、松下洸平、中島歩、要潤、山口馬木也、宮﨑あおい、小栗旬ほか
語り:安藤サクラ
脚本:八津弘幸
制作統括:松川博敬、堀内裕介
演出:渡邊良雄、渡辺哲也、田中正
音楽:木村秀彬
時代考証:黒田基樹、柴裕之
プロデューサー:高橋優香子、舟橋哲男、吉岡和彦(展開・プロモーション)、国友茜(広報)
写真提供=NHK
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