『風、薫る』直美×吾郎に祝福と“不穏なフラグ” 戦時下の“看護のありかた”が問われる
一方、りんは関節リウマチを患う男爵家夫人・宮川佳枝(相田翔子)の在宅看護を続けていた。このところ、朝の指のこわばりが昼過ぎまで続くと話す佳枝。また、りんが「手足の運動は続けられていますか?」と尋ねると、手の運動は寝たままできるものの、足を動かすには起き上がる必要があり、そのたびに人を呼ぶのは申し訳ないとなかなかできずにいるという。
そこで、りんはベッドのそばに椅子を置き、佳枝がそれにつかまって一人で立ち上がれるように工夫する。佳枝との会話からりんが知ったのは、少しずつ症状が進行していることだけではない。自分でできないことが増えていくことに、佳枝自身がつらさを感じていることにも気づいたのだ。患者と話し、身体の状態だけでなく、その人が何に困り、何をつらいと感じているのかを知る。まさに「人を看る」看護である。
かたや、広島の陸軍病院へ向かった多江(生田絵梨花)は、その会話をすることさえ許されない状況にあった。負傷兵の検温をしながら「昨日の夜は冷えましたね。寒くはありませんでしたか?」と声をかけた多江。それに対して負傷兵が「足元が少し」と答えると、同じ病室に入院する上官から「軍人たるもの、みだりに女と話してはならん」とたしなめられてしまう。さらに、多江たち看護婦と患者の間に不適切な関係があるという投書が地元の新聞社に寄せられ、あらぬ噂まで広まっていく。患者の小さな異変や困りごとを知るために必要な会話が、ここでは男女の私的な交流とみなされてしまうのだ。
平時なら看護の一部として当然にできることが、戦時下では軍の論理によって阻まれてしまう。患者と向き合い、その声に耳を傾けることすらままならない中で、どう「人を看る」のか。戦争は人々の暮らしだけでなく、りんたちが大切にしてきた看護のあり方までも揺るがし始めていた。
■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK