『風、薫る』板橋駿谷が放つ“朝ドラ常連俳優”の安心感 『あんぱん』とは対照的な父親像

 板橋駿谷が、NHK連続テレビ小説『風、薫る』に第19週より登場している。板橋が朝ドラに出演するのは、『なつぞら』(2019年度前期)、『あんぱん』(2025年度前期)に続き、今回で3度目。家族として共演する美山加恋、渋谷そらじとともに、“朝ドラ常連俳優”として視聴者に信頼感をもたらしている印象だ。

 板橋が演じるのは、赤痢にかかってしまうアサ(美山加恋)の夫・太助。役場の職員である山辺(六角慎司)や巡査の金子(金子岳憲)と「おらとこはどごもわーりねえ」と押し問答をする場面が初登場シーンとなった。家から赤痢を出したとなれば、村からつまはじきにされてしまう。そのことを恐れた太助は必死に取り繕っていた。そこにりん(見上愛)と黒川(平埜生成)に助けを求めた息子の長太郎(渋谷そらじ)が帰ってくる。

 アサを赤痢と診断した黒川は避病院に連れていくことを提案するが、“死病院”とも揶揄される場所への搬送を太助は反対した。しかし、「私のせいにすればいい」と説得する黒川、「生きてほしい」と願うりんを、太助は信じてみることにしたのだった。

 家から3日間は出ないようにと言われた太助は、別々の部屋で隔離された場所から長太郎に「寂しいろも辛抱ら。なっ?」と声をかける。泣き出しそうになるも一人我慢する太助の表情が切ない。

 特筆すべきは、『あんぱん』に続く、渋谷そらじとの共演であること。直接的なやり取りはなかったものの、2人は『あんぱん』の中でも過酷な描写が続く、戦争パートに登場していた。渋谷は中国人の少年・リン・シュエリャン役としてその迫真の演技が称賛され、今回の『風、薫る』においても子役とは思えない存在感を放っている。

 一方の板橋は『あんぱん』で嵩(北村匠海)が所属する小倉連隊内務班の古年兵・馬場力を演じた。“小倉の連隊魂”を教えるとして、隊にやってきたばかりの嵩に理不尽な暴力を振るう、軍隊での厳しさを体現する役どころながら、まるで“ガキ大将”と言わんばかりの熱血でピュアな、とぼけた一面も持ち合わせていた。

 朝ドラデビューを飾った『なつぞら』から7年。当時34歳で高校生役を演じ話題をさらい、そこから2020年公開の映画『サマーフィルムにのって』でも高校生とは思えない“ザ・時代劇”なルックスを持つ、老け顔高校生ダディボーイを演じ、5月に放送された土曜ドラマ『ムショラン三ツ星』(NHK総合)では、服役中の強面“アニキ”を好演した。

 今回の『風、薫る』で特徴的なのは、“父親役”を前面に押し出した役どころであること。これまでの俳優歴の中で、少なくとも朝ドラという場では初の父親役となる。板橋は現在42歳。『なつぞら』の高校生役から、『風、薫る』でついに父親役へと辿り着いたのだ。

 ここから息子の長太郎、そして帰りを願うアサとのシーンは続いていくだろう。家族を思う温厚で優しい父親像は、板橋の新たなイメージとして視聴者の記憶に残っていくはずだ。

■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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