『君の好きは無敵』は“好き”が詰まったラブコメに 松本若菜×佐野勇斗が生み出す多幸感

 いきなりですが、国民的キャラクターといえば何を思い浮かべますか? きっとハローキティ、アンパンマン、ドラえもん、ピカチュウ、ちいかわ、すみっコぐらしなど、いろんな名前が挙がるはず。日本は世界に誇るキャラクター大国であり、アニメやゲーム、グッズ、イベントといった様々な形で展開され、私たちの生活を彩ってきた。

 7月14日にスタートしたドラマ『君の好きは無敵』(TBS系)は、そんなキャラクタービジネスの世界を舞台に繰り広げられるラブコメディだ。そのコンセプト、なおかつ天下のサンリオが取材協力していると聞いて、ワクワクしたのは筆者だけではないだろう。

 しかも、2024年に大ヒットした『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)以来となる、主演・松本若菜と脚本家・宮本武史の再タッグ作。主人公の相手役は「好きすぎて滅!」でブレイクしたM!LKの佐野勇斗で、主題歌を手がけるのは星野源と、新情報が解禁になるたびに期待は大きく膨らんでいった。だが、第1話はその期待を大きく上回る面白さで、思わずあの言葉を口にせずにはいられない。

「え、好き」

 特に心惹かれたのは、劇中に登場するベリーグッドベリーやシニカルモルコといったキュートなキャラクターに負けじと愛おしい主人公たちだ。

 草壁杏奈(松本若菜)は元大手コンサルのエース社員。若くしてFIRE=早期リタイアし、気まぐれに隙間バイトで生活している。ある日、書類整理のバイトをすることになった彼女は、依頼主の瀬尾深月(佐野勇斗)がクライアントから法外に安いギャラでキャラクターデザインの仕事を引き受けようとしているところに遭遇。たまらずコンサル時代の知識をフル活用し、悪質クライアントを成敗するが、おかげで瀬尾は一番の取引先を失ってしまった。

 すると、「(お詫びに)経営のお手伝いをさせてください!」と映画『シャイニング』のジャック・ニコルソンばりの顔芸で瀬尾に迫ったかと思いきや、一人で反省して「私はやらかしガール」と押入れで自作ソングを歌う杏奈。そのはちゃめちゃぶりに笑ってしまったのと同時に、どことなく『西園寺さんは家事をしない』の主人公を彷彿とさせるキャラクターで思わず嬉しくなってしまった。

 仕事ができて情に厚く、人のためなら労力を惜しまず奔走する。反面、常に全力投球だからこそ、たまに暴走しがち。そんな女性を聡明さを失わず、かつ嫌味なくキュートに演じられるのが、松本若菜という役者だ。

 きっと杏奈は自分が何かに夢中になった経験がないからこそ、一つのことを極めている人のことを尊敬しているのではないだろうか。だから、その人が持っている特別な価値を最大限高め、広く知らしめてあげたい。それ自体はコンサル向きのマインドだし、実際に杏奈の情熱的な働きにより業績を伸ばしたクライアントも大勢いるのだろう。けれど、全員が全員、富や名声のためだけに仕事をしているわけではなく、大切にしていることはそれぞれ違う。その大切なものを蔑ろにしてしまったことへの罪悪感から、杏奈は早期リタイアという道を選んだのかもしれない。

 瀬尾が何よりも大切にしているのは「好き」という気持ちだ。幼い頃からかわいいものが好きで、「男のくせに」と馬鹿にされても、自分の「好き」を諦めなかった瀬尾。キャラクター会社「MERRY」に就職し、憧れのキャラクターデザイナーになるも全く成果を出せず、やっとの思いで生み出したキャラクターは社長である大三島(本郷奏多)の手で売れるデザインや性格に変えられてしまった。愛着のあるキャラクターが全く別物になって、世に羽ばたいていくのを、瀬尾はどんな気持ちで眺めていたのだろう。

 「好き」という気持ちは幸せをもたらしてくれるけど、時々身を引き裂かれるような苦しみを伴うこともある。それなのに、簡単には手放せない。ぬいぐるみを抱きながら、「苦しんだよ。辛いんだよ。もうやめたいのに、なんで…」と吐露する瀬尾の葛藤が、佐野の芝居を通じて痛いほどに伝わってきた。

 そんな瀬尾の「好き」に心を動かされ、杏奈は「まだ作りたいなら作りましょうよ。一緒に作りましょう」と手を差し伸べる。このまま感動のシーンで終わるかと思いきや、容赦なくムードをぶち壊すのが瀬尾という男だ。最終的には杏奈に煽られ、「やってやるよ!」と立ち上がった瀬尾。偏屈で天邪鬼だけど、とてつもなくピュア。まるで小学生男子みたいな彼のことを、もうすでに愛おしく感じている自分がいる。

 杏奈と瀬尾はこれから共に世界的大人気キャラクター誕生を目指していくことになるのだが、気になるのは本作が“お仕事ドラマ”ではなく“ラブコメディ”であること。つまり2人の関係はいずれ恋愛に発展していくとみられるが、現時点では全く予想がつかない。なにより、杏奈には麦(金田哲)という交際5年目にしてラブラブの恋人がいる。果たしてここから、どのように2人は惹かれ合っていくのだろうか。

 「好きの悪用は罪です!」という杏奈のセリフや、星野源が歌う主題歌「好き」に合わせて出演者が踊るエンディングなど、同じくTBS火曜ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』を思い出す要素もところどころにちりばめられており、大ヒットドラマ誕生の予感に今日は眠れそうにない。

■放送情報
火曜ドラマ『君の好きは無敵』
TBS系にて、毎週火曜22:00〜22:57放送
出演:松本若菜、佐野勇斗、小野花梨、金田哲(はんにゃ.)、中村隼人、白本彩奈、島崎和歌子、藤井隆
声の出演:あの(シニカルモルコ役)
脚本:宮本武史
演出:竹村謙太郎、府川亮介、渡部篤史、尾本克宏ほか
主題歌:星野源
プロデューサー:岩崎愛奈
協力プロデューサー:小髙夏実
編成:吉藤芽衣
取材協力:株式会社サンリオ
製作:TBSスパークル、TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/kiminosukihamuteki_tbs/
公式X(旧Twitter):@kiminosuki_tbs

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