『キングダム』第1作で超初心者が驚いた3つのポイント 山﨑賢人の圧倒的“主人公力”

信の実在感を生み出す“身体能力”

 そして2つ目は、圧倒的な身体能力である。『キングダム』には、少年漫画らしいダイナミックなアクションシーンが数多く登場する。さらに本作は、邦画の枠を超えるスケール感を持つ超大作だ。それだけに、アクションひとつで作品のリアリティが大きく左右される。しかし山﨑賢人の動きには、一切の違和感がなかった。巨大な太刀を振り回しても軸はぶれず、走り、飛び、敵とぶつかる。そのすべてに「信ならこう動くだろう」という説得力がある。そして興味深かったのは、その身体づくりだ。単に筋肉を増やした“俳優の身体”ではなく、奴隷として生き、独学で剣を振り続けてきた少年が持つ身体になっているのである。高く跳ぶために鍛えられた太ももやふくらはぎ。大きな剣を支える肩や腕。そして、豪快な戦い方とは裏腹に、剣先を操るためのしなやかな指先。その肉体には、信が生きてきた時間そのものが刻まれていた。だからこそ観客は、「山﨑賢人が演じる信」を見ているのではなく、「信」という一人の人間の人生を目撃しているような感覚になるのだ。

天下の大将軍を信じさせる圧倒的“主人公感”

 そして3つ目は、圧倒的な主人公感だ。『キングダム』を観ていて何度も思ったのは、「山﨑賢人、主人公すぎる!」という感想。信というキャラクターは、決して完成された英雄ではない。むしろその逆だ。無鉄砲で、感情的で、勢いだけで突っ走ることも多い。冷静な判断より先に身体が動き、思ったことはそのまま口にする。現実にいたら、少し面倒くさいタイプかもしれない。それでも不思議と観客は彼から目を離せなくなる。そして気づけば、「この人なら天下の大将軍になれるかもしれない」と信じてしまうのだ。

 この説得力は、演技力だけで生まれるものではない。山﨑賢人には、「この人の物語をもっと見たい」と思わせる力がある。画面の中心に立った瞬間に視線を集め、周囲を巻き込み、作品そのものを前へ進ませていく。いわゆるスター性という言葉で片付けてしまうのは簡単だが、きっとそれだけではない。役に入り込む繊細さと、作品を背負う覚悟。その両方を持っているからこそ、観客は自然と彼を物語の中心人物として受け入れてしまうのだろう。実写化作品や大作映画で山﨑賢人が繰り返し主演に抜擢される理由は、まさにここにあるのだと思う。山﨑賢人には、「この人が主人公だ」と観客を自然に納得させてしまう力があるのだ。

 今後も、松下洸平とのW主演作『殺人の門』、そして2028年にはNHK大河ドラマ『ジョン万』で主演を務めることが決まっている。恋愛作品、漫画原作、ヒューマンドラマ、そして大河ドラマ。求められるものがまったく異なる作品を渡り歩きながら、そのたびに作品の“顔”として選ばれ続ける。それは単なる人気だけでは説明がつかない。役を生きる俳優としての実力と、物語の中心に立つ人間としての引力。『キングダム』の信を観ていると、その理由が少しわかった気がした。何を隠そう、『キングダム』超初心者だった私がそう思ったのだから、おそらく間違ってはいないのだろう。

参照
※ https://kinro.ntv.co.jp/lineup/20260710

■放送情報
『キングダム』スペシャルエディション
日本テレビ系『金曜ロードショー』にて、7月10日(金)21:00〜23:09放送
※15分拡大
出演:山﨑賢人、吉沢亮、長澤まさみ、橋本環奈、本郷奏多、満島真之介、阿部進之介、深水元基、六平直政、髙嶋政宏、要潤、橋本じゅん、坂口拓、宇梶剛士、加藤雅也、石橋蓮司、大沢たかおほか
監督:佐藤信介
脚本:黒岩勉、佐藤信介、原泰久
原作:原泰久『キングダム』(集英社『週刊ヤングジャンプ』連載)
主題歌:ONE OK ROCK「Wasted Nights」
©原泰久/集英社 ©2019映画「キングダム」

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