『風、薫る』ツヤが直面した看護婦の“現実”が歯がゆい シマケン“佐野晶哉”の恋模様も進展

 NHK連続テレビ小説『風、薫る』第13週「白日の夢」第65話では、看病婦のツヤ(東野絢香)が帝都医大病院を解雇されてしまう。看護婦を目指すため、看護科の生徒たちと受講し始めたツヤだったが、寝る間も惜しんで働き勉強してきた無理がたたり、薬の投与を忘れ患者を危険に晒してしまった。取締のりん(見上愛)が自分の責任だと主張するも、院長の多田(筒井道隆)は解雇を撤回しない。

 そこに直美(上坂樹里)も加わり多田の説得に回るが、元々看病婦は減らす方針だったこと、そして看病婦から看護婦になる道は開いていくつもりだと話す。しかし、それは形だけ。受講料が半額だったとしてもツヤにとってはなけなしのお金であり、働く時間を減らせばその分給金が少なくなってしまう。直美は多田に食い下がり、「彼女たちが……貧しい人が看護婦になってまっとうに生きていこうとするのを、どうしたら助けられるんですか」と訴える。この「彼女たちが」の後の言い換えの間があり、直美=上坂樹里は真剣な、必死な表情に変わる。それはみなしごとして自身も貧しい過去を経験してきたからだ。直美が一ノ瀬家に居候してからというもの、りんとのバディとしての結託、親密度が強固なものになっているが、上坂樹里の芝居も目を見張るほどに表情豊かになっている印象を受ける。

 根底にあるのは貧困であり、ツヤを助けるには社会の仕組みを変えなければいけないと多田は言う。「私、諦めませんから。勉強続けて、どうにかして……看護婦になります」と言い聞かせるツヤに、りんは恩師・バーンズ(エマ・ハワード)が残していった本『NOTES ON NURSING』をツヤに託す。そこに書かれているのは全て英語。講義での書き写しもついていくのがやっとなツヤにとって、それは険しく果てしない道のりだ。けれど、「腎臓」「肝臓」が書けていた、努力ができるツヤならきっと、と期待するしかない。やるせない、何が正しいのかを考えさせられるエピソードだ。

 一方、りんと島田(佐野晶哉)の恋模様が進展。島田はりんにようやく書き上げた小説を読ませることができた。「私に手伝えることはしますけど」と結託を結んだ直美が「お団子を買ってきて」とりんに頼んだナイスアシストのおかげだ。小説のタイトルは「浮世の翼」。登場する啓之助と小鳥は、島田とりんそのものだ。りんは物語に鼓舞されながらも、島田の思いには気づかない。直美も認めるその鈍感さは相当手強い。

 そして直美にも新しい風が吹き始めていた。その相手は、陸軍二等軍曹の小川吾郎(甲斐翔真)。陣内清(細川岳)の見舞いに訪れ直美と言い争いになっていた小川だったが、こてこての九州男児のイメージはどこへやら。丁寧な言葉遣いで直美に話しかける。若くして一番“階級”の上である取締の看護婦であること、さらに医者に意見をしたことを陣内から聞き、小川は“働くおなご”の直美に敬礼。しかし、“小日向”こと寛太(藤原季節)から海軍中尉として騙された経験があるため、直美は「本当ですか?」と半信半疑だ。新兵だった頃に上官から厳しく叱られていたという小川は、上官の叱咤激励を全て兵の命を考えてのことであり、優しい上官だと思い込むようにしたという。つまりは、直美も患者の命を考える優しい看護婦なのだと。一言多い小川に直美は「思い込むようにしたんですね」と笑いながら苦言を呈する。“芋男”呼ばわりだった以前の出会いから、好青年へと印象は急上昇。直美も“本物”の軍人だと確信を持ったはずだ。

 第14週「ウソと誠」の予告では、中庭で直美と団子を食べる小川の「大家さん見るとピリッとして」というセリフも確認できる。そこに洋装をし髭をたくわえた寛太が再登場。りんへの恋心に燃える虎太郎(小林虎之介)も登場し、双方の恋模様が加速していきそうだ。

■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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