竹内涼真、W杯でも際立つ存在感 『あんたが』『10DANCE』にも通じる表現者としての誠実さ
4年に一度、世界中を熱狂させるFIFAワールドカップ。日本代表の戦いはもちろん、テレビ中継を通してその熱を伝える出演者の言葉にも注目が集まる大会でもある。今大会の日本テレビ系中継で、スペシャルナビゲーターとして独自の存在感を放っているのが竹内涼真だ。
竹内は「FIFAワールドカップ2026」(以下、W杯)日本テレビ系スペシャルナビゲーターに就任。日本代表のグループステージ第2戦となる日本×チュニジア戦を含めた中継・関連番組で、大会の熱を視聴者に届ける役割を担っている。
そんな竹内は近年、俳優としても着実にキャリアの幅を広げている。作品ごとに異なる人物像を演じ分け、その都度新たな一面を見せてきた。『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(TBS系)で演じた勝男は、“料理は女が作って当たり前”という古い価値観を持つ、かなり面倒な男だった。普通に演じれば嫌悪感だけが先に立ちそうな役柄だが、竹内はその不器用さや幼さまで含めて見事に体現していた。
『再会~Silent Truth~』(テレビ朝日系)では、23年ぶりに再会した初恋の相手が殺人事件の容疑者になるというヒューマンラブミステリーで、刑事・飛奈淳一を演じた。こちらは『じゃあ、あんたが作ってみろよ』の勝男とはまるで異なる、感情を内側に抱え込む役柄。声を荒らげるのではなく、沈黙や目線の揺れで過去の傷や迷いをにじませる芝居が印象的だった。さらにNetflix映画『10DANCE』では、町田啓太とW主演を務め、ラテンダンスの日本チャンピオン・鈴木信也役に。社交ダンス初挑戦ながら、競技者のプライドや相手とぶつかる熱を、身体ごと表現していた。
いずれの作品でも竹内は、役ごとに求められる温度を的確に捉えている印象だ。親しみやすさを前面に出す場面もあれば、感情を抑えて人物の奥行きを見せる場面もある。作品の中で自分がどう立つべきかを見極め、その場に合った形で存在感を残している。
その一方で、W杯中継に立つ竹内にも、俳優業とはまた違うかたちで、その場で求められる役割を理解している印象がある。特に印象的だったのが、森保一監督との対談で見せた姿勢だ。日本代表監督を前にした時、竹内は自分の知識を前面に出すのではなく、まず相手へのリスペクトを置いていた。選手を選び、ピッチへ送り出す監督の重みを受け止めたうえで、経験者ならではの角度から質問を投げかける。どうしても大会前後のインタビューは「意気込み」や「勝つために必要なこと」といった大づかみな問いに流れやすいものだが、竹内の場合、試合中の選手の判断、監督と選手の関係性、チーム内で生まれる緊張感といった、実際にピッチに立った経験があるからこそ気になるポイントに自然と踏み込んでいたのは見ていて心地よかった。サッカーを普段見ない視聴者にも届く言葉でありながら、競技を知る人が聞いても納得できる視点がある。そのバランス感覚こそ、今大会における竹内のマルチな才能と言えるだろう。
日本テレビの中継における竹内の立ち位置は、専門解説者とも少し違う。本田圭佑や槙野智章、柿谷曜一朗、松井大輔らが戦術面や選手心理をより専門的に語る一方で、竹内はサッカーをよく知らない視聴者と、深く見ているファンの間をつなぐ存在だ。俳優としての聞く力を生かして選手や監督の本音を引き出し、なおかつ自分自身も本気でボールを追ってきた人間として、プレーの細部に反応できるのは大きい。たとえばボールを持っていない時の動き、守備時の距離感、試合の流れが変わる瞬間の空気にも目が届くからこそ、竹内のコメントには、競技を経験してきた人ならではの説得力がある。俳優として作品の中に立つ時も、ナビゲーターとして日本代表を伝える時も、竹内はその場に必要な役割を自然に引き受けているように見える。ひとつの肩書きに収まらず、それぞれの場所で確かな説得力を持てることが、今の竹内の強みだ。
日本代表はこのあと、6月21日のチュニジア戦へと向かう。優勝を目標とする森保ジャパンにとっても、この2戦目が重要な試合になることは言うまでもない。W杯アフリカ予選を無失点で突破した相手に対して、森保ジャパンがどのように試合を動かしていくのかは大きな見どころになる。そして同時に、竹内がその試合のどこに目を向け、どのように視聴者へ届けるのかにも注目したい。W杯という大きな舞台でも、自分にしかできない関わり方で大会の熱を伝えてくれるはずだ。