朝ドラヒロインを強くする“仲間との別れ” 『風、薫る』『虎に翼』が描く夢のバトン

 NHK連続テレビ小説『風、薫る』の第10週「疾風に勁草を」では、内科でゆき(中井友望)とトメ(原嶋凛)が担当している患者の小野田里久(宮地雅子)の容態が悪化。りん(見上愛)と直美(上坂樹里)も心配して見守るが、担当医の坂田(金井勇太)から家族への連絡を促され動揺しつつも、ゆきは献身的に看護を続けていた。

 看護の仕事は人を救う職業であると同時に人が亡くなる瞬間に居合わせたり、見送る場面に立ち会わなければならないものだ。ゆきのようにピュアで高い理想を持っている人ほど、現実の厳しさに直面したり、親しくなった患者の死を受け入れることが難しいのかもしれない。

 もともと、ゆきは子爵令嬢で梅岡女学校の生徒だったが、ナイチンゲールの言葉に感銘を受けて看護婦を志すようになった。おっとりした性格なのに、ナイチンゲールのことになると突然熱く語り始めたり(突然絶叫することもある)、おっとりしているのに熱い心を持った女性だ。

 バーンズ先生(エマ・ハワード)は看護とはこういうものだと正解を押し付けるようなことはしない。自ら学び、患者と向き合い、自分で答えを探すように導いていくのがバーンズ先生のやり方だ。同じ内科で実習し、同じ患者を担当しても、ゆきとトメでは答えが違うように、ゆきにはゆきの答えがある。

 ゆきの様子をそばでずっと見ていたトメはもちろん、りんや直美、看護婦養成所1期生が心配し、見守る中でゆきは決断した。明治時代の看護という職業そのものが理解されていなかった時代に新しい道を切り拓こうとしていく女性たちの姿を描く本作は、日本で初めて女性として弁護士、判事、裁判所長を務めた三淵嘉子氏をモデルとして、大学の女子部で法律を学ぶ女性たちが直面する問題を提起した『虎に翼』と重なる部分が多いことに気づく。

 『虎に翼』の主人公、寅子(伊藤沙莉)は高等試験(司法試験)に2度目の挑戦で合格したが、同期のよね(土居志央梨)は口述試験の最後に試験官から容姿(男装)に難癖をつけられて反発し、不合格となった。一緒に学んできた涼子(桜井ユキ)も梅子(平岩紙)も香淑(ハ・ヨンス)もそれぞれの事情があり、法曹への道を断念せざるを得なかった。

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