『マテリアリスト』“シニカルな婚活描写”が残酷 純粋な恋を諦めた大人たちの三角関係

 しかしハリーとくっついておきながら、仕事のミスで落ち込んだルーシーが連絡するのはジョンのほう。ジョンもジョンでわりと受け入れてしまう……というより未練を隠そうともしない。

 スティーブ・ロジャースが復活するとかしないとかいわれているクリス・エヴァンスだが、本作で演じるジョンは37歳にして俳優志望のフリーター。あまりの貧乏暮らしからかつてのルーシーに愛想を尽かされてしまう。

 それに、俳優として大成する道はないのだろうとどこか諦めを抱いていて、そんな自分を受け入れてしまっているようにも見える。いまだにシェアハウス暮らしの彼は、ズタボロの洗面所やキッチンに落ちていた同居人の使用済みコンドームに愚痴をたれるが、わずかに生き生きしている。淡白なテンションが作品を貫くなかで、このジョンのシェアハウスでのひとときはひときわ賑やかだ。

 ともあれそんなジョンにも、やがてルーシーと復縁するかどうかといった展開が訪れる。結局ハリーとは別れたルーシーがジョンに接近。「君はおれとよりを戻したいのか?」と核心に迫る。ジョンはルーシーを愛しているというが、ルーシーはそれを受け入れられないでいる。ルーシーはマテリアリストである自分のことが嫌いだというのだ。マテリアリスト的価値観にとらわれたことでジョンを捨ててしまったことを、後悔してもいるようだった。

 この2人の距離感は終盤で明らかになるだろう。

 ところで、婚活市場に対する本作の視点はかなりシニカルだ。明らかに不釣り合いな条件を求める相談者(例:「大人」な女性がいいと言いながら20代じゃなきゃ付き合えないというオッサン)たちは、矮小な人物として笑いを誘う。「相談中」のダコタ・ジョンソンの苦笑と対話場面の切り返しもベタに笑える。

 ただ、相談所の紹介した男性が、デート中に相手の女性へ暴行を加えてしまうという冗談では済まされない展開も描かれる。情報技術に支援されながら「ステータス(作中用語では「項目」)」で他人を測ってしまう態度への批判的姿勢も、ストレートながら丁寧な一作だ。

■公開情報
『マテリアリスト 結婚の条件』
全国公開中
出演:ダコタ・ジョンソン、クリス・エヴァンス、ペドロ・パスカル
監督・脚本:セリーヌ・ソン
配給:ハピネットファントム・スタジオ
2025/アメリカ/116分/英語/カラー/ビスタ/5.1ch/原題:Materialists/日本語字幕:牧野琴子
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公式サイト:https://happinet-phantom.com/materialists/
公式X(旧Twitter):@materialists_jp
公式Instagram:@materialists_jp

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