『サバ缶、宇宙へ行く』荒木飛羽と市原匠悟の友情 異なるタイプの青春模様と同じ大きな夢
5月18日に放送された『サバ缶、宇宙へ行く』(フジテレビ系)は第6話。前回のラストで少しだけ描かれた2011年3月11日の東日本大震災。東北から遠く離れた小浜市では直接的な被害はなかった一方で、日本の社会全体に大きなダメージを与えたことはいうまでもない。ましてや、劇中でははっきりと触れられてはいないが、福井県は複数の原子力発電所を抱える地域でもある。それまで長年にわたって形成されてきた地域社会が大きな転換を余儀なくされるきっかけとなったことは間違いなく、その影響は原発のない小浜市にも及んだものと考えられる。
今回から(といっても、一気に3年生への進級から卒業まで描かれることになったが)登場する“3期生”は、井畑(荒木飛羽)と佐伯(市原匠悟)の2人。彼らはかつてJAXAの皆川(ソニン)の講演に感化され、自分たちで“宇宙サバ缶”を実現させることを夢見て若狭水産高校へとやってきた。しかし廃校の話が進んでいたこともあって課題研究が廃止となり、さらに井畑は母親が被災した祖父の世話をするため離れて暮らすようになったことで完全に荒んでしまう。そんななかで佐伯は、宇宙サバ缶を繋いでいくため、“災害食”として開発し直そうと試みるのである。
1期生たちがサバ缶を宇宙に飛ばす夢を掲げてから、すでに7年。彼らがHACCPを取得し、粘度という課題にぶつかったまま卒業し、それを引き継いだ2期生たちは粘度をクリアしたものの、現状では缶詰を宇宙へ運べないと言われたことから“宇宙キャラメル”の開発に転換する。「宇宙にはすぐ届きません。でも、だからこそ挑戦する価値があるんです」。これは前回、JAXAの木島(神木隆之介)が若水に来て、2期生の宮井(早瀬憩)たちに伝えた言葉だ。その言葉通り、生徒たちはなかなか宇宙に届かず紆余曲折を繰り返してきた。
しかしそこには常に、粘度や運搬という“技術の壁”と、避けて通ることのできない“時間の壁”が存在していた。ところが今回、3期生たちが災害食の開発を始めたタイミングで、宇宙への運搬の課題が解決。彼らは本格的に“宇宙サバ缶”の開発再開へと舵を切り直し、一気に宇宙日本食の候補として申し込む段階――朝野(北村匠海)の言葉を借りれば、“宇宙サバ缶の集大成”の完成にまで漕ぎ着けるのである。壁がひとつ取り払われただけで、時間の壁もないかのように一気に前進できるバイタリティの強さ。それを目の当たりにすると、先述の木島の言葉にもうひとつの意味が見えてくる気がする。すなわち、“挑戦をつづけなければ決して届かない”ということだ。
とはいえ今回は、そうした開発周りのエピソードは終盤に端的にまとめられるのみで、ほとんどが井畑と佐伯の友情の復活に注力されていたかたちだ。1期生は6人の男女のグループで、そこにあったのはそれぞれの“地元”への想い。2期生は3人の男女であり、彼らはささやかな三角関係を形成していた。期を重ねるごとにまったく異なるタイプの青春模様が描写され、同時にそれらは同じ大きな夢に向かって連なっている。次回からの“4期生”の青春ドラマにも期待が持てそうだ。
■放送情報
『サバ缶、宇宙へ行く』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:北村匠海、出口夏希、黒崎煌代、八嶋智人、三宅弘城、村川絵梨、佐戸井けん太、熊切あさ美、吉本実由、ソニン、迫田孝也、鈴木浩介、荒川良々、神木隆之介、井上芳雄(語り)ほか
原案:『さばの缶づめ、宇宙へいく』(小坂康之、林公代/イースト・プレス)
脚本:徳永友一
音楽:眞鍋昭大
主題歌:Vaundy『イデアが溢れて眠れない』(SDR/Sony Music Entertainment)
演出:鈴木雅之、西岡和宏、髙橋洋人
プロデュース:石井浩二
プロデューサー:野田悠介、中沢晋
制作協力:オフィスクレッシェンド
制作著作:フジテレビジョン
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