『リブート』『冬のさ春のね』の共通点と決定的な違い 令和ドラマのトレンドはリアリズム?

 『リブート』の前半は常に現在を描きながらその先で新たな真実に突き当たるという、主人公はその真実を視聴者と同時に知るかたちである。他方、『冬のなんかさ、春のなんかね』の前半では、回を追うごとに新たなモノローグと過去を交えて描くことによって、徐々に別の角度の真実やパーソナリティが明らかになるという形となっていた。そのようにして『冬のなんかさ、春のなんかね』がやはり、出会ったばかりのまだよく知らない人と会話をしているかのような特殊なテンポで構成されていたことなどを考えると、『リブート』の前半は特に、令和の最新ドラマとして堂々たる王道サスペンスの様相を見せていたといえるだろう。

 1話も見逃せないテンポで走り続けた『リブート』は、第6話では第1部の締めくくりといえるような「終幕」を迎え、早瀬陸(松山ケンイチ/鈴木亮平)が儀堂歩として生きていくことを決意した第7話から新たなパートへ突入しする。そしてついに、第8話では、これまで常に圧倒的なスピード感で描かれてきたリアルタイムの裏にあった、一香(戸田恵梨香)の過去と正体が判明することで早瀬夫婦の関係性が変化し、ここからエクストリームなサスペンスドラマは壮大なラブストーリーという重心を伴い、生まれ変わっても一緒であるという愛の究極を「リブート」という形で体現していくことになる。

 そして出会いから始まった『冬のなんかさ、春のなんかね』の物語はかたや、お別れの方向へ舵を切り、別れから始まった『リブート』の物語はかたや、家族と愛の再生の方向へ舵を切っていくこととなった。

 現代的な恋愛や人間関係へと物語の方向性がアップデートされていく令和ドラマにおいて、社会の裏で動く金銭や貧困、闇バイト、居場所のない子供たちなどといった、時代に即した社会問題が複雑に絡まり合うリアリティを保ちながら、さらにその先へ行くドラマティックを見せた『リブート』。最新鋭の技術を使った一人二役という設定の妙に加え、輪をかけて大きくなっていく事件の規模や闇の深さが壮大であればあるほど、そこに立ち向かう2人の夫婦と、たとえ大切な人には気づかれなくてもただ陰で支え続けるという見返りを求めない愛やその絆がさらに強く美しく映るという、サスペンスとラブストーリーの相乗効果が爆発しつつ見事に融合しながら、家族愛の尊さと強さを象徴した新たな形の作品であった。

 リアルなタッチで描かれるドラマや、結婚や恋愛に夢を見すぎるでもなく、それをゴールととらえるでもない等身大のようなラブストーリーも、特に今の時代にとっては大切であり、多様性などと共に認められ、求められているものでもあり、たしかに大きく人の心を救う作品になりうるであろうが、綺麗事でも夢物語でも「金や権力なんかに縛られている連中より、小さな家族を必死で守ってるやつのほうが強い」というメッセージを胸を張って伝えてくれるようなテレビドラマである『リブート』もまた、令和という現代、今の世の中において改めて必要で重大な傑作であるといえるだろう。

■配信情報
日曜劇場『リブート』
TVer、U-NEXTにて配信中
出演:鈴木亮平、戸田恵梨香、永瀬廉(King & Prince)、蒔田彩珠、中川大輔、藤澤涼架、与田祐希、上野鈴華、藤田ハル、矢崎滉、野呂佳代、塚地武雅(ドランクドラゴン)、津田篤宏(ダイアン)、伊藤英明、山口紗弥加、池田鉄洋、酒向芳、黒木メイサ、原田美枝子、北村有起哉
第10話ゲスト:市川團十郎
脚本:黒岩勉
音楽:大間々昂、木村秀彬
主題歌:Mr.Children「Again」(TOY'S FACTORY)
プロデュース:東仲恵吾
協力プロデュース:國府美和
演出:坪井敏雄、田中健太、元井桃
製作著作:TBS
©TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/REBOOT_tbs/
公式X(旧Twitter):@reboot_tbs
公式Instagram:reboot_tbs
公式TikTok:@reboot_tbs

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