『ゴールデンカムイ』チタタプを再現してみた 鮭×白子で味わうアイヌ料理の奥深さ

 実際に食べてみると、まず印象に残るのは、サーモンも白子もそれぞれの素材の味がしっかり立っていることだ。今回使っている調味料らしい調味料はほぼ塩だけなので、素材そのものの風味がよりまっすぐに出ているのだと思う。生ものらしい風味はしっかりあるが、昆布の旨みと塩気が全体をきゅっと引き締めてくれるので、味わいはきれいにまとまっている。おかずとして食べてもいいし、少量ずつつまむ酒肴としてもかなり優秀な一品だ。

 ただ、生ものが苦手な人や白子の風味に慣れていない人にとっては、少しハードルのある味かもしれない。正直に言えば、やや好みが分かれそうな料理でもある。

完成品

 作中では「チタタプ」と声をそろえながら包丁を入れていく場面が印象に残るが、実際に作ってみると、この料理の繊細さがよくわかる。材料も味つけもごくシンプルだからこそ、素材の状態や下処理が仕上がりを大きく左右する。

 しかも、こうして素材を細かく刻み、余計な味つけをほとんど加えずに食べる料理だからこそ、森の中でこれを味わったら、ただ「おいしい」だけではない感覚がありそうだとも思う。自然の恵みや命をいただくことは、『ゴールデンカムイ』が繰り返し描いてきたものでもあるが、そうした作品の感覚が、チタタプという料理のあり方にもよく表れているのではないだろうか。

 冒頭でも少し触れたが、作中ではリスなど森の動物の肉を使ったチタタプも描かれており、魚でも肉でも作れる料理として登場している。今回は鮭で再現したが、ほかの食材ではどんな風味になるのだろうと想像が広がるのも、この料理の面白さだ。

 3月13日には実写映画第2弾『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』も公開された。映画を観たあと、その余韻のまま自宅でチタタプを作ってみれば、作品の魅力をまた違った形で味わえるはずだ。

※アシリパの「リ」、チチタプの「プ」は小文字が正式表記

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