北村有起哉×岡部たかしはなぜNHKに求められる? 大河出演にみる“名バイプレイヤー”の条件

 ここで改めて浮かび上がるのが、2人が名バイプレイヤーとして信頼されている理由だ。名バイプレイヤーとは、脇役を数多くこなしてきた人を指す言葉ではない。主役を際立たせながら、作品全体に深みを足していける俳優のことだ。北村の芝居は、真っ直ぐで不器用な人間像を丹念に描く。『おむすび』では18歳から50歳までの同一人物を演じ、人生の時間を一本の線としてつなげてみせた。長回しの演説シーンでも、北村は大げさに泣いたり叫んだりしない。唇の震えや言葉の置き方、沈黙の取り方といった小さな変化で、抑え込んでいた感情が滲み出てくる。その積み重ねが場面の説得力を上げている。

 岡部の持ち味は、ユーモアと誠実さが同じ画面に同居しているところだ。『虎に翼』で演じた父親も、普段はどこかおどけて場を和ませる一方で、ふとした瞬間に迷いや弱さが顔を出す。その揺れが終盤に向かうほど濃くなり、家族の中で抱えてきたものが静かに伝わってきた。『ばけばけ』でも不器用ながら家族の空気を和ませる存在として描かれ、主人公の心情をほぐす役割を果たしている。コミカルな芝居で場を整えながら、人物の厚みを失わない。そのバランスが絶妙なのだ。

 名バイプレイヤーに必要なのは、目立つことではなく、画面の中で人物をきちんと生かすことだろう。派手に感情をぶつけなくても、目線や声のトーン、言葉の置き方ひとつで、その役が抱えてきた時間や迷いが伝わってくる。さらに、場面の空気を読む感覚も欠かせない。緊張が高まる局面では余計な熱を足さず、逆に軽く流れそうな場面では間や沈黙で引き締める。印象は残すのに出しゃばらず、主役の流れを邪魔しない。北村と岡部が信頼されるのは、そうした塩梅を、気負いなく当たり前のようにやってのけるからだろう。

 北村も岡部も、役の大きさに左右されず、作品の中で自分が担う場所を見極め、必要な温度で演じてきた。その積み重ねが、次の現場でもう一度呼びたいという信頼につながっている。大河という大きな舞台で、2人がどんな存在感で物語を支えていくのか。NHKドラマに欠かせない脇役として、これからも視聴者の信頼を集めていくだろう。

参照
https://realsound.jp/movie/2024/04/post-1647691.html

■放送情報
大河ドラマ『逆賊の幕臣』
NHK総合にて、2027年放送
出演:松坂桃李、北村有起哉、鈴木京香、上白石萌音、岡部たかし、中村雅俊
脚本:安達奈緒子
制作統括:勝田夏子
演出:西村武五郎

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