宇野維正の映画興行分析

木村拓哉主演『教場』は映画でも強かった 鍵を握るのは「Netflixとの連携」

 2月第4週の動員ランキングは、木村拓哉主演、中江功監督の『教場 Requiem』がオープニング3日間で動員43万人、興収6億1100万円を記録して初登場1位。2月23日(祝)までの累計成績は動員58万7000人、興収8億2300万円。本作はフジテレビ系のスペシャルドラマとして2020年の正月に2夜連続で前後編が放送された『教場』に始まり、2021年の正月にも2夜連続で『教場II』前後編、同年4月からは全11話(+特別編)の連続ドラマ『風間公親-教場0-』が放送されてきた『教場』シリーズの最新作。これまでのスペシャルドラマ版に倣って今回も前後編に分かれていて、前編の『教場 Reunion』は今年1月1日からNetflixで配信が始まっていた。

 と、ここまでの作品フォーマットと流通形態の概要の説明だけでも、シリーズを熱心に追ってきた視聴者以外は「?」となりそうなものだが、今回の好スタートはその「シリーズを熱心に追ってきた視聴者」が十分にいたことを証明するものだ。ちなみにオープニング3日間の興収6億1100万円は、木村拓哉出演映画として前作となる昨年11月公開の『TOKYOタクシー』のダブルスコア以上の209%という数字なので、単純に木村拓哉人気の高値安定というだけではなく、『教場』シリーズ自体にも吸引力があるということだろう。

 ちなみに、Netflixで配信されていた『教場 Reunion』は結局『教場 Requiem』の6日前にフジテレビ系で地上波でも放送された。前編は地上波や配信で、後編を映画館で、というのはこれまで何度か試みられてきた手法だ。他でもない、そのパイオニアと言えるのはフジテレビで、今から34年前の1992年に『パ★テ★オ』のPART1とPART2を地上波で放送、PART3を映画館で公開した。その『パ★テ★オ』を筆頭にこれまで、特に劇場公開版ではほとんど成功するケースがなかったのだが、その前例を今回『教場』が覆したかたちだ。

 興行分析的な関心で言うと、もし前編の『教場 Reunion』の地上波放送がなく、当初のアナウンス通りNetflixだけで配信されていたら結果は大きく違ったのかどうかが気になるところだが、さすがにそこまでリスクは冒せなかったということなのだろう。いずれにせよ、前回のコラムで取り上げた通り、前代未聞の興行(全国19館での公開ながら4日間で動員14万8100人、興収2億9100万円)となった『超かぐや姫!』と合わせて、映画興行の鍵を握るのも「Netflixとの連携」の方法という時代に突入した。

■配信・公開情報
映画『教場 Reunion』
Netflixにて独占配信中
映画『教場 Requiem』
全国公開中
出演:木村拓哉、綱啓永、齊藤京子、金子大地、倉悠貴、井桁弘恵、大友花恋、大原優乃、猪狩蒼弥、中山翔貴、浦上晟周、丈太郎、松永有紗、佐藤仁美、和田正人、荒井敦史、高橋ひとみ、佐藤勝利、中村蒼、小日向文世、赤楚衛二、白石麻衣、染谷将太、川口春奈、味方良介、大島優子、三浦翔平、濱田岳、福原遥、目黒蓮、坂口憲二
原作:長岡弘樹『教場』シリーズ/『新・教場』『新・教場2』(小学館刊)
脚本:君塚良一
監督・プロデュース: 中江功
配給:東宝
©フジテレビジョン ©長岡弘樹/小学館
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『今週の映画ランキング』(興行通信社):https://www.kogyotsushin.com/archives/weekend/

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