『再会』『未来のムスコ』『ラムネモンキー』 冬ドラマになぜ「男3人・女1人」が多い?
2026年冬ドラマにはある際立った特徴がある。「男3人・女1人」という構図のドラマが、火曜と水曜に複数集中して並んだことだ。
テレビ朝日の火曜21時枠『再会~Silent Truth~』では、竹内涼真演じる刑事・飛奈淳一、瀬戸康史演じる一級建築士・清原圭介、渡辺大知演じる専務・佐久間直人の3人が、いずれも井上真央演じる岩本万季子への恋心を小学校時代から抱き続けてきた(原作は横関大の第56回江戸川乱歩賞受賞作)。
TBSの火曜ドラマ『未来のムスコ』では、アラサー女性・汐川未来(志田未来)のもとに2036年から息子・颯太(天野優)が現れ、元カレで劇団座長の吉沢将生(塩野瑛久)、幼なじみで保育士の松岡優太(小瀧望)、後輩俳優の矢野真(兵頭功海)という3人の"まーくん"候補が並ぶ。
フジテレビ水曜22時の『ラムネモンキー』では、反町隆史演じる吉井雄太(ユン)、大森南朋演じる藤巻肇(チェン)、津田健次郎演じる菊原紀介(キンポー)という51歳の3人が、1988年の中学時代に憧れた映画研究部の顧問教師・宮下未散こと「マチルダ」(木竜麻生)の謎の失踪を37年ぶりに追う(原作・脚本は古沢良太)。
そして日本テレビ水曜22時の『冬のなんかさ、春のなんかね』では、今泉力哉が脚本・監督を務め、27歳の小説家・土田文菜(杉咲花)が、現在の彼氏・佐伯ゆきお(成田凌)、腐れ縁の先輩・早瀬小太郎(岡山天音)、既婚の先輩小説家・山田線(内堀太郎)、高校時代の元カレ・柴咲秀(倉悠貴)ら、異なる時間に出会った男性たちとの関係を往還しながら「きちんと人を好きになること」から逃げてきた自分と向き合っていく。
これほど同時期に「女1人・男複数」の構図が重なるのは、単なる偶然ではないように見える。
恋愛ドラマの定型である三角関係は、必ずどこかに「余り」が生まれる。二対一の勝敗構造は明快だが、「選ばれなかった側」を物語の外に追い出してしまう。四角関係は違う。1人と3人、2人と2人、あるいは全員が絡む関係性など、組み合わせが幾通りにも広がり、登場人物全員が誰かにとっての「外」に置かれずに済む。
『再会』のSNSには「男性3人がみんな万季子を想っていたことにリアリティがある」「万季子みたいな子、昔いたな。男子3人が全員その女子が好きだった」という声が相次いだ。三角関形では生まれない「みんなが好きだった女の子」というノスタルジーは、4人組という構造があってこそ成立する。飛奈淳一は初恋の相手として、清原圭介は元夫として、佐久間直人は密かに想い続けた人として——三者三様の「好き」が同じ1人の女性に向けられながら、3人は競争するだけでなく、23年来の秘密をともに抱え、謎を追う。複数の愛し方が同じ人物に束ねられることで、「誰かを選ぶ話」ではなく「誰かを守ろうとした長い時間の話」へと深化している。