実写版『ゴールデンカムイ』が支持された理由とは 原作ファン太鼓判の名シーンを一挙紹介
殺人ホテル
ドラマ第4話「殺人ホテルだよ全員集合!!」は、原作でも屈指のトンデモ回の、勢いと密度を両立させた回だ。アニメーションならともかく、実写でどう仕上がるのか筆者が気になっていた回でもある。杉元たちが宿泊する「札幌世界ホテル」にはさまざまな仕掛けがあり、ホテルという閉鎖空間を縦横に使って、逃げ道の狭さや視界の切れ方で追い詰められる感覚を作り出している。ホラー、ギャグ、サバイバルの振れ幅を、破綻させずに1本につなげた見事な回となった。
アクション面では、杉元役の山﨑賢人と牛山役の勝矢の室内格闘が見ものだ。本作のアクションは屋外でのシーンが多いが、家具にぶつかり、壁に叩きつけられる逃げ場のない中だからこその迫力がある。体格で明らかに上回る牛山を相手になんとか食らいつく、杉元の執念を全身で見せる山﨑の芝居はこの回ならではだろう。牛山との格闘を、蓄音機から流れるオペラに乗せてダンスのように見せる演出も面白い。
印象に残るのが、桜井ユキ演じる家永カノだ。ここまで泥臭いアクションが続いてきた中に、家永の美しい(がちょっと怪しい)接客スマイルが入ってくる。その異物感がホテルの不気味さをさらに増幅していて、家永が画面に映るだけで全体の空気ががらりと変わっていた。
江渡貝邸の乱戦
ドラマ第6話「職人の鑑」で注目したいのは、江渡貝邸の内観の作り込みだ。剥製をはじめとするインテリアが隅々まで設計され、空間そのものが不穏さを底上げしている。同じ映像化でもアニメではもう少し部屋そのものは無骨な印象だったが、実写ではアンティーク調の家具が加わり、一見すると少し柔らかい雰囲気になっている。だからこそ、家族の剥製が現れたときの落差が凄まじい。
そしてあの部屋の中で際立つのが、江渡貝役・古川雄輝と鶴見中尉役・玉木宏の歪なやりとりだ。誰にも理解されなかった「作品」を鶴見に褒められた瞬間、古川の表情がふっとほどける。渾身の作品で江渡貝が“ファッションショー”をするシーンは、実写だとスポットライトや音楽でより強調されていて、江渡貝の無邪気さが痛いほど伝わってきた。
3月13日には、映画第2弾『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』がいよいよ公開。網走監獄に全勢力が集結し、それぞれの思惑を抱えた面々が同じ場所に向かう構図は、ここまで映画とドラマで描いてきた因縁の集大成でもある。あの密度で積み上げてきたものが、網走でどう爆発するのか。
参照
※1. https://screenonline.jp/_ct/17679422/p2?utm_source
※2. https://cgworld.jp/regular/307-kamuy-movie.html
※アシリパの「リ」は小文字が正式表記
■放送情報
『ゴールデンカムイ』
日本テレビ系にて、2月20日(金)21:00〜23:29放送
※地上波初放送
出演:山﨑賢人、山田杏奈、眞栄田郷敦、矢本悠馬、工藤阿須加、栁俊太郎、大谷亮平、勝矢、高畑充希、泉澤祐希、木場勝己、大方斐紗子、秋辺デボ、マキタスポーツ、玉木宏、舘ひろし
原作:野田サトル(集英社ヤングジャンプ コミックス刊)
監督:久保茂昭
脚本:黒岩勉
音楽:やまだ豊
©野田サトル/集英社 ©2024 映画「ゴールデンカムイ」製作委員会
ドラマ『ゴールデンカムイ 北海道刺青囚人争奪編』特別編集版
日本テレビ系にて、2月27日(金)21:00〜22:54放送
出演:山﨑賢人、山田杏奈、眞栄田郷敦、矢本悠馬、工藤阿須加、栁俊太郎、塩野瑛久、大谷亮平、高橋メアリージュン、桜井ユキ、勝矢、中川大志、北村一輝、池内博之、木場勝己、大方斐紗子、井浦新、玉木宏、舘ひろし
原作:野田サトル(集英社ヤングジャンプ コミックス刊)
監督:久保茂昭、片桐健滋、落合賢、佐藤洋輔
脚本:黒岩勉
音楽:やまだ豊、出羽良彰
©野田サトル/集英社 ©2024 WOWOW