『DREAM STAGE』中村倫也が仕掛けた大胆な“炎上”戦略 NAZEの“弱さ”を最大の武器に
デビュー日、それはこれまでの苦労が報われる瞬間であると同時に、「世間」という名の荒波へと漕ぎ出す緊張の瞬間でもある。一部のファンの熱狂や、業界内の駆け引きとはまったく異なる不特定多数の視線。その洗礼を前に、彼らは早くも試されることになる。
金曜ドラマ『DREAM STAGE』(TBS系)第5話で描かれたのは、もっとも輝かしく、そしてもっとも脆いデビュー直前という時間だ。
2月14日にデビューを控えたNAZE。TORINNERとの同日デビューというのは計算外だったが、それでもよきライバルとして高め合うことを誓い合った彼らの間に流れる空気は明るい。
デビュー日を目前に韓国人メンバーのドヒョクの姉が息子とともに来日。ドヒョクは、カイセイとともに東京観光に張り切るのだが、立ち寄った回転寿司店でタチの悪い男性とトラブルに。しかも、相手はデビュー直前というドヒョクの弱みにつけ込み、大金を要求されてしまうのだった。
こんな大事な時期に迷惑をかけられない、と抱え込む。それは仲間思いの優しさであると同時に、グループという共同体のなかで最も危うい感情でもある。仲間の危機は背負えるのに、自分の弱みは明かせない。「守りたい」と思うからこそ、助けを求められない。その不器用さに、胸が締めつけられる。そのリアルな葛藤の末、ドヒョクは「NAZEにはいられない」と合宿所を飛び出すのだった。
こんなとき、異変にいち早く気づくはずの吾妻(中村倫也)。だが、このときばかりはそれどころではなさそうに見えた。彼が抱えていたのは、デビュー曲の最終アレンジという重大な責任だった。
吾妻が模索していたのは、どこまでも「NAZEにしかない魅力」。トレンドを押さえた洗練された楽曲も魅力的だが、それだけでは「NAZEらしさ」には届かない。NAZEの良さは、どこか懐かしく、親しみやすく、完璧ではないからこそ応援したくなる余白にある。そこで彼が思いついたのが、「きらきら星」という誰もが知る旋律の引用だった。
パブリックドメインの名曲を大胆に取り込むことで、無意識レベルの親近感を生む。同時に、その引用をあえて“パクリ疑惑“として匂わせる。法的問題はない。だが、週刊誌が飛びつく余地はある。その揺さぶりに、追い詰められたドヒョクがどう動くかを見極める。一見すると冷酷にも思えるが、そこには彼を一人で抱え込ませないための仕掛けがあった。