『豊臣兄弟!』は『どうする家康』との違いも楽しい 中沢元紀が“弟”として大河に初登場
NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』第4回「桶狭間!」では、織田軍と今川軍が激突する「桶狭間の戦い」が描かれた。戦国の世を大きく変える、信長(小栗旬)にとっての命運をかけた大戦であり、小一郎(仲野太賀)にとっては運命の初陣となった。
信長は、義元(大鶴義丹)率いる2万5千の大軍を相手に、わずか数千の手勢を引き連れ急襲を仕掛け、今川軍を相手に勝利を収めた。“日本三大奇襲”の一つにも数えられる信長の計略を小一郎は、(1)ギリギリまで戦支度をせずに敵を領内に誘き寄せたこと、(2)佐久間盛重(金井浩人)の首が運ばれるのを見越して義元の居所を突き止めたこと、(3)敵を油断させ大軍勢を2つに分かれるように仕向けたこと、と分析し「大したお方じゃ」と忠誠を誓う。
しかし、そこには信長の残忍さが際立つ恐ろしい謀があった。盛重は松平元康(松下洸平)に攻め入れられ、丸根砦を明け渡すことを決意。降伏宣言する盛重を家臣の梁田政綱(金子岳憲)が背後から刺し殺し、首を義元へと差し出すことで義元の居所を探知することができていたのだ。全ては信長の命の下。そのことを小一郎たちは知る由もない。
大の字に寝転がり、「勝った……!」と勝利を噛み締めて笑う信長の姿は、家臣たちの前とは大違いの妹の市(宮﨑あおい)のような気を許した者にしか見せない素顔だ。「あれこれ策を弄したところでうまくいくとも限らぬ」というセリフも小一郎の考えとは対照的な信長の本心。雷雨の中の奇襲が、攻め入る足音を消し、今川軍の鉄砲を使えなくした、市が言う“悪運”でもある。しかし、信長は雨が降ることを読んでいた。とんびが低く飛べば、雲行きが怪しくなる。そのことを信長に教えた、天の声を聞いたのは小一郎だ。
信長は藤吉郎(池松壮亮)を足軽組頭に任命し、木下藤吉郎秀吉の名を与えた。自ずと手柄が舞い降りてくる“吉運”の持ち主であり、そのことを正直に申し出ることができる藤吉郎に相応しい名だ。そして、小一郎は信長のそばに仕える役目の近習に命じられる。とんびが低く飛べば雨が降るという“助言”なくして戦には勝てなかったという信長からの評価だ。だが、小一郎はあろうことかその命を固辞する。勝つことを信じて疑わなかった、その思いが天を味方につけ切り開くのだと教えられたとして、「わしは兄に従い、兄とともに、殿にお仕えしとうございます!」と真っ直ぐに伝える。
信長は小一郎に、弟の信勝(中沢元紀)を見ていた。信長の脳裏をよぎるのは、当主争いで対立した信勝を自らの手で殺害した苦い過去。小刀を持ち恐ろしい形相で信長に向かっていく信勝は信長の家臣に背後から斬られ、命を落とす。「兄上……!」と手を伸ばすが、あと一歩届かずに絶命していく、短い回想シーンだが張り詰めた緊迫感に息を呑む。信勝を演じる中沢元紀はこれが『豊臣兄弟!』初登場となった。兄への謀反を企てる悲しき生涯を遂げた信勝は、信長の心情やその過去を知る市、藤吉郎と小一郎との兄弟の対比など、『豊臣兄弟!』における重要なポジションを担う役である。
筆者が思わず笑ってしまったのは、漫画盛りのご飯をもりもり食べる元康の姿だ。必死に守った兵糧を少しでも減らそうとする単純なもったいなさ、プライドからの行動だろう。義元が討ち取られながらも飯を食べ続ける、その冷静かつ飄々とした態度は『どうする家康』(2023年)で重要な選択を迫られるたびに泣き叫んでいた松本潤が演じる元康とは大違いである。
主君を失った元康は今川から独立し、信長と同盟を組むこととなる。第5回「嘘から出た実」では、小一郎や藤吉郎と元康の共演シーンも多くなってくるだろう。さらに、予告では前田利家(大東駿介)の姿も。藤吉郎の生涯の友であり、ライバルの登場だ。
■放送情報
大河ドラマ『豊臣兄弟!』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送/毎週土曜13:05〜再放送
NHK BSにて、毎週日曜18:00〜放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15〜放送/毎週日曜18:00〜再放送
出演:仲野太賀、池松壮亮、吉岡里帆、浜辺美波、白石 聖、坂井真紀、宮澤エマ、倉沢杏菜
大東駿介、松下洸平、中島歩、要潤、山口馬木也、宮﨑あおい、小栗旬ほか
語り:安藤サクラ
脚本:八津弘幸
制作統括:松川博敬、堀内裕介
演出:渡邊良雄、渡辺哲也、田中正
音楽:木村秀彬
時代考証:黒田基樹、柴裕之
プロデューサー:高橋優香子、舟橋哲男、吉岡和彦(展開・プロモーション)、国友茜(広報)
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.web.nhk/tv/pl/series-tep-P52L88MYXY
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