ジェシーの“一人二役”に留まらない魔力 『パンチドランク・ウーマン』でみせる集大成

 てっきり肉体派かと思いきや、脱獄を虎視眈々と狙う頭脳派な一面も。様々なところに出入りしている衛生係の小豆(団長安田)を抱き込み、拘置所内の情報を得ていく怜治。元々は大企業の副社長令息ということもあってか、アウトローでありながら、品の良さや知性のようなものが滲み出ているように思う。加えて、怪我をした小鳥を助けたり、男性にトラウマがあると見られるトランスジェンダーの内村(沢村玲)を共同室から単独室に移動させるために、わざと悪役を引き受けたりと、心根の優しさが窺える行動も取ってきた。

 そのため、本当に罪を犯したのか、こずえに近づく理由も脱獄に協力させるためなのか、もしくは彼女に惹かれているからなのか、現時点では見当がつかない。幅広い役を演じ分けるジェシーが、怜治の掴みどころのなさを多彩に表現しており、こちらまで翻弄されている。

 また特筆すべきは、ジェシーが春臣の青年期も演じているということだ。こずえの回想シーンに登場する大学時代の春臣はメガネこそかけているが、怜治とそこまで大きなビジュアルの違いはない。それでもなお、別人であることを一瞬にして視聴者に分からせるのが、ジェシーの目。個人的にジェシーは役柄によって、目元が別人級に変わる俳優だと思っている。爽やかな役柄や好青年を演じるときは目が丸っこく見えるが、ミステリアスな役や堅物な役になると途端に冷ややかな目つきになるのだ。怜治は人を射すくめるような鋭い眼光が印象的だが、こずえの思い出の中の春臣はいつも慈悲深い瞳をしている。

 母親から虐待を受けていたこずえを絶望の淵から救い出した春臣。一方で、彼もまたこずえが「人生で一番愛して、一番憎んだ人」と独白していること、これまで数多く二面性のある役柄を演じてきた竹財輝之助がキャスティングされていることからも、ただの良い人では終わるとは思えない。ジェシーも竹財の芝居を研究しているのではないだろうか。春臣の柔和な笑みには、どこか闇深さを感じさせる。つまり表向きは一人二役だが、このドラマでジェシーが見せる顔は2つに留まらない。『パンチドランク・ウーマン』はジェシーの豊かな表現力をとくと堪能できるポートフォリオ的作品であり、ファンにとってはご褒美のような一作と言えるだろう。

パンチドランク・ウーマン −脱獄まであと××日−

ベテラン刑務官こずえは、強盗殺人犯の怜治と出会い人生を狂わせる。冷静沈着な彼女の秘密に深く関わる怜治との出会いが、運命を大きく変えていく。

■放送情報
『パンチドランク・ウーマン −脱獄まであと××日−』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30~23:25放送
出演:篠原涼子、ジェシー、藤木直人、小関裕太、知英、高橋努、尾碕真花、柏木悠(超特急)、沢村玲(ONE N' ONLY)、新納慎也、河内大和、中島ひろ子、久保田悠来、小久保寿人、団長安田(安田大サーカス)、カルマ、高岸宏行(ティモンディ)、星乃夢奈、ベンガル 、宇梶剛士、大澄賢也、竹財輝之助、梶原叶渚、遠山俊也、柾木玲弥、越村友一、山下容莉枝、山田明郷
脚本:いずみ吉紘
演出:中茎強、南雲聖一、菅原伸太郎、茂山佳則
チーフプロデューサー:荻野哲弘
プロデューサー:鈴木亜希乃、福井芽衣
音楽:中島ノブユキ
制作協力:AX-ON
©日本テレビ
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