『呪術廻戦』『葬送のフリーレン』が描く“別れ”の違い 対照的な2作が生み出す死の先の感情

 一方で、『呪術廻戦』が突きつける死はあまりにも冷徹な印象が強い。アニメや漫画でその展開を見て、呆気にとられた人も多いのではないだろうか。

 特にナナミンの愛称で呼ばれ、誰よりも他人想いに戦った七海建人の最期はじつに切なかった。彼は最後まで呪術師として誇り高くいたにもかかわらず、真人によって無残にその命を絶たれる。

 『呪術廻戦』の世界において、死はそれぞれの物語を強制終了させるものとして描かれる。自分の死後も動く情報の伝達役を残したメカ丸(与幸吉)や、息子の今に安堵して生を絶った敵役・伏黒甚爾の存在もあるが、彼らの死は、形勢を大きく揺るがす切り札とはなり得なかった。

 虎杖悠仁は、祖父から「大勢に囲まれて死ね」という遺言を託され、いつか訪れる自らの死が明るいものとなるよう、戦いに身を投じ始めた。死が物語の原点であることは、ある意味でフリーレンとも近しいのかもしれない。

TVアニメ『呪術廻戦』第3期「死滅回游 前編」PV

 しかし現実は、虎杖をはじめとする呪術師たちの思いを、冷酷に踏みにじり続ける。やりたかったことも、伝えたいことも、叶わないままに終わるのだ。

 だが、いつ死ぬかも、敵に一矢を報いることができるかもわからない儚い命だからこそ、それぞれの生が輝いて見える。“ご都合主義”を期待できない無残な展開こそが、本作の怪物的な魅力なのではないだろうか。

 アニメの表現力が限りなく高まっている今、私たちはキャラクターの死を、まるで自分自身の体験のように感じることができる。

 今は亡き大切な人を思い出し、次への一歩を踏み出すか。残酷な死を前にして、命の重さを噛みしめるのか。物語の中で散っていくキャラクターたちの生き様は、私たちの心に、別れでしか描けない、暗く、だが光にも見えるような感情を灯していく。

■放送情報
TVアニメ『呪術廻戦』第3期「死滅回游 前編」
MBS/TBS系28局“スーパーアニメイズム TURBO”枠にて、毎週木曜24:26~全国同時放送
キャスト:榎木淳弥、内田雄馬、浪川大輔、緒方恵美
原作:『呪術廻戦』芥見下々(集英社ジャンプコミックス刊)
監督:御所園翔太
シリーズ構成・脚本:瀬古浩司
キャラクターデザイン:矢島陽介、丹羽弘美
副監督:高田陽介
美術監督:東潤一
色彩設計:松島英子
CGIプロデューサー:淡輪雄介
3DCGディレクター:石川大輔(モンスターズエッグ)
撮影監督:伊藤哲平
編集:柳圭介、ACE
音楽:照井順政
音楽プロデューサー:小林健樹
音響監督:えびなやすのり
音響制作:dugout
制作:MAPPA
オープニングテーマ:King Gnu「AIZO」(Sony Music Labels)
エンディングテーマ:jo0ji「よあけのうた」(Sony Music Labels)
©︎芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会
公式サイト:jujutsukaisen.jp
公式X(旧Twitter)https://x.com/animejujutsu

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