興収で読む北米映画トレンド

『28年後... 白骨の神殿』北米で『アバター』に敗れる 『マーティ・シュプリーム』は記録更新

 北米映画市場は新年最初の3連休を迎えた。1月19日(月曜日)は祝日のキング牧師記念日とあって、映画館にも活気が期待された……が、結果はやや渋そうだ。

 1月16日~18日の北米週末ランキングでNo.1に輝いたのは、公開5週目を迎えた『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』。週末3日間で興行収入1332万ドルを記録し、月曜日を含む4日間では1720万ドルを稼ぎ出す見込みで、北米興収は3億6741万ドル、世界興収は13億2271万ドルとなった。

『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』©2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.

 予想外だったのは、第2位で初登場した『28年後... 白骨の神殿』だろう。連休唯一となる話題の新作にもかかわらず、週末3日間の興行収入は1300万ドルと、前作『28年後...』(2025年)の初動興収3000万ドル(3日間)からマイナス56%という大幅下落。4日間の成績も1500万ドル見込みで、事前予測の2000万~2200万ドルを大きく下回った。

 本作は『28日後...』シリーズ新3部作の第2弾で、前作からレイフ・ファインズらが続投。シリーズ第1作『28日後...』(2002年)と前作『28年後...』を手がけたダニー・ボイル監督はプロデュースに専念し、脚本家アレックス・ガーランドは続投。監督には新鋭ニア・ダコスタが新たに起用され、その才気を存分にふるった。

『28年後... 白骨の神殿』

 それゆえ作品のクオリティは高く、Rotten Tomatoesでは批評家スコア93%・観客スコア89%という高評価を獲得。映画館の出口調査に基づくCinemaScoreでも「A-」を獲得した。賛否両論が当然のホラージャンルとしては極めて秀でた評価であり、ソニー・ピクチャーズは口コミでの長期的なヒットに期待しているという。

 もっとも現実的なハードルは高い。観客の分布は前作と似ており、25歳以上の男性が最多の49%。続いて25歳以上の女性が26%、25歳未満の男性は17%(前作は13%だからやや改善)、25歳未満の女性が9%となった。ヒットのカギである若年層+女性客をつかむことに苦戦している感は否めない。

 低調の理由とみられるのは、前作『28年後...』からわずか7カ月後の続編公開というスケジュールだ。前作はシリーズ第1作『28日後...』から23年ぶりにボイル&ガーランドが復帰する正統な続編としてファンの期待が集まっており、シリーズとしては上々の成績となったが、その7カ月後にも新たな続編を観たい観客は少なかったのだ。

 とりわけ現在は、数多のフィルムメイカーが独創的なホラー映画を送り出そうとそれぞれに苦慮している時期。本作もガーランドによる(ほとんどゾンビ映画ではない)脚本と、ダコスタの演出力が異形の融合を果たしたユニークな作品なのだが、プロモーションではうまく前作との差別化がなされていなかった。

『28年後... 白骨の神殿』

 製作費はシリーズ最高の6300万ドル。『28日後...』主演のキリアン・マーフィーが復帰する続編の製作も発表されているだけに、本作の興行成績が悪い影響をもたらさないことを祈りたい。ダコスタにとっては『マーベルズ』(2023年)に続いてスタジオ映画で辛酸を嘗める結果となったが、いずれも興行の問題は本人の責任から遠いところで起きている。

 また、今週は『ロード・オブ・ザ・リング』3部作の25周年記念上映も初登場。3作のうち、2001年公開の第1作が週末3日間で349万ドルを記録して第7位にランクインした。第2作『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』(2002年)も、土日2日間で230万ドルを稼ぎ出し第11位に登場。第3作『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』(2003年)は日曜日に200万ドルとなった。

 3部作の累計興行収入は3日間で800万ドル、月曜日までの4日間で950万ドル(見込み)。昨年の再上映にはやや届かなかったが、ピーター・ジャクソン監督による3作それぞれのイントロダクションも新たに収録され、25周年のお祭りは盛り上がりを見せている。当初は次の週末を含む2週末のみの上映予定だったが、上映回数や上映劇場も増えているようだ。

関連記事