『教場』はなぜこれほど巨大なシリーズとなったのか 木村拓哉が導く“オールスター”俳優

 木村拓哉が警察学校の冷酷無比な教官・風間公親を演じた『教場』シリーズ。2020年と2021年の正月にフジテレビ系でそれぞれスペシャルドラマ『教場』『教場II』が放送され、その前日譚となる『風間公親-教場0-』が連続ドラマとして2023年4月期のフジテレビ系月9枠で放送。それからおよそ2年半ぶりのシリーズ最新作として、2本の新作映画『教場 Reunion』が1月1日からNetflixで配信、『教場 Requiem』が2月20日より劇場公開される。

「教場 Reunion」| 予告編 | Netflix

 まずはこれまでのシリーズの流れを簡潔に整理していこう。スペシャルドラマの舞台となったのは神奈川県警察学校。『教場』では第198期の学生、『教場II』では第199期で起きたできごとをバックグラウンドにして第200期の学生たちの物語が展開する。基本的な運びかたは一貫している。“風間教場”に所属する学生たちがなんらかの事件・問題を起こし、指導教官である風間がそれを追及。「君にはここをやめてもらう」という決めゼリフとともに退校届を突きつけ、警察官に不適格な学生たちを次々と追放していくのである。

 フォーカスの当てられる学生、それぞれが起こす事件や問題のバリエーションは多岐に渡るが、スペシャルドラマ(いずれも2夜連続での長尺に及ぶもの)のなかでこれが何度か繰り返され、もちろん風間教場から無事に卒業していく学生たちもいる。そして話が進んでいくごとに、風間という極めて機械的な人間に“過去”があることが示されていく。そういった意味では、この時点からすでに連続ドラマに近しい作りをしていたといえよう。

 連続ドラマ版になると、今度はスペシャルドラマ版よりも前の時間軸の物語が描かれる。風間は警察学校の教官ではなく、県警本部で新人刑事たちに犯罪捜査を叩き込む“指導官”。それでも流れのようなものは踏襲している。一人前の刑事になるために“風間道場”で捜査を学ぶ刑事たちは、やはり風間から転属届を突きつけられながらも食い下がり、指導終了とともにそれぞれの道へと進む。その流れで、風間が警察学校の教官になるきっかけともなる――右目を失った事件について詳らかになる。

 このシリーズの物語としての妙味は、このようなシンプルな連続性によって見出され、最終的には未来方向へと向いた学生たちのドラマと、過去へ向かって逆行していく風間のドラマが重なり合うことにあるといえるだろう。案の定、過去を描いたはずの連続ドラマ版においても最後の最後でさらに過去へと遡るきっかけとなりうる謎を残す。風間が右目と、部下の遠野(北村匠海)を失う事件の犯人である十崎(森山未來)が問いかける「妹は、どこだ」という言葉。新作2本では、新たな第205期の学生たちの物語と、風間と十崎の過去の因縁が描かれるはずだ。

 さて、ストーリー面以外でもうひとつ着目すべきは、やはり木村拓哉という絶対的スターと対峙することになる学生側のキャストであろう。『教場』では工藤阿須加を筆頭に、川口春奈、三浦翔平、林遣都、大島優子、西畑大吾、富田望生、葵わかな、味方良介、井之脇海が名を連ねており、『教場II』に登場した第199期の学生では三浦貴大と佐久間由衣、重岡大毅。同じく第200期の学生では、目黒蓮、濱田岳、福原遥、矢本悠馬、杉野遥亮、戸塚純貴、眞栄田郷敦、高月彩良、岡崎紗絵など。

 先述したこれまでの流れからも分かる通り、ドラマ自体の構造はいわゆる“学園ドラマ”に近い。教壇に立つ“教える側”の人間の視点が軸となったうえで、“教えられる側”の学生たち一人一人の物語が進められていき、本作の場合はそこにある種の選別が加えられることで“理想的な教室”が作りだされていく。もちろん、中心的に描かれる教室の学生たちが卒業した後も、また新たな代がやってくるだけで、シリーズとして継続させることが容易になる。そういった意味でも『3年B組金八先生』(TBS系)などのオーソドックスな学園ドラマのパターンだ。

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