「ガンダムが言っている」「れな悪」「マギカって誰?」 2025年のアニメミームを振り返る

 SNSの発達により、日夜さまざまなネットミームが生まれるようになった現代社会。とくに多いのは、アニメに出てくる印象的な言葉が流行するというパターンだ。本稿では今年多くの人に愛された“アニメ発の流行語”をいくつかピックアップし、その文脈をできるかぎり分かりやすく紹介していこう。

「ガンダムが言っている」

米津玄師「Plazma」×『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』 Kenshi Yonezu - Plazma × Mobile Suit Gundam GQuuuuuuX ⚠️閲覧注意

 まずはTVアニメ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』およびその劇場先行版『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』で人気が出たのは、「戦え、とガンダムが言っている」というフレーズだ。第3話でシュウジ・イトウが発したセリフで、ミステリアスなキャラクター性を決定付けるものとなった。

 その後も意味はよく分からないながら、シュウジの口癖として何度も作中に登場。しかもアニメの終盤では、とある人物が“エモい”活用法をすることによって視聴者を感動させるという演出も見られた。

 とはいえ、このセリフが爆発的に広まった理由は、なんといっても汎用性の高さだろう。「○○、とガンダムが言っている」と何でもガンダムに言わせることができるため、公式も販促動画などで「僕たちのグッズが出る、とガンダムが言っている」と積極的に使っていた。

「見なよ…」

 その一方、フィギュアスケートアニメ『メダリスト』では「見なよ…オレの司を…」というセリフが人気を博することに。12月11日に発表されたドワンゴとピクシブ共催の「ネット流行語100 2025」では、この言葉が第7位に輝いており(※)、どれほどネット民に愛されたのか伝わってくる。

 シチュエーションとしては、コーチの明浦路司が教え子・鴗鳥理凰の参考になるようスケートの演技を披露する場面で、司の実力に全幅の信頼を置いている主人公の結束いのりが“ドヤ顔”で言い放つという流れだ。普段のおどおどとした態度からするとまるで別人のようなギャップで、渾身のギャグシーンとなっていた。

 ちなみにこの場面は原作では「理凰くん……こんなありがたい事ないからちゃんと見た方がいいよ」というセリフが吹き出しに書かれており、「見なよ…オレの司を…」は心の声のような描き方だった。しかしアニメではあえて前段を省略した上、心の声を実際のセリフとして描くという演出が採用されている。それによってネットミームが誕生したことを考えると、絶妙な改変だったと言えるだろう。

 2026年1月からは第2期が放送される予定なので、ふたたびネットミームが生まれるほどの盛り上がりを見せてくれることを期待したい。

定番の『チェンソーマン』、AiScReamやダークホース的『東島ライダー』

AiScReam『愛♡スクリ~ム!』Music Video

 そのほか大ヒット中の劇場版『チェンソーマン レゼ篇』では、作中でマキマが口にする「田舎のネズミと都会のネズミ」に注目が集まることに。X(旧Twitter)上で、一連のセリフを改変する投稿が流行した。

 お次は『ラブライブ!』シリーズのラジオ番組発のユニット・AiScReamの楽曲「愛♡スクリ~ム!」の歌詞に出てくる、「ルビィちゃーん! はーい! 何が好き~?」というフレーズ。楽曲自体がTikTokやショート動画などで大流行した結果、『ラブライブ!』シリーズの中でも異例の大ヒットとなった。中にはこの曲が『ラブライブ!』シリーズの楽曲だとは知らない人もいるほどで、現代の音楽の消費のされ方を体現するような“バズ曲”と言えるだろう。

 また『東島丹三郎は仮面ライダーになりたい』では、「俺のは“ごっこ”じゃないから……!  本気だから……!」というセリフが話題を呼んだ。これは幼い頃から仮面ライダーに憧れて身体を鍛え続けた主人公・東島丹三郎が、街に現れた偽ショッカーと対峙した際、ついに人生の夢が叶うという万感の思いを込めて放った一言。作品のテーマを凝縮した名ゼリフとなっている。

関連記事