橋本環奈「仕事もプライベートも大事にしたい」 朝ドラから舞台、映画まで濃密な2025年
2026年1月12日にスタートするフジテレビ系月9ドラマ『ヤンドク!』は、“元ヤン×脳神経外科医”という異色の主人公が、旧態依然とした医療現場に立ち向かう痛快医療エンターテインメント。軽快なテンポと熱い人間ドラマを併せ持つ、根本ノンジ脚本の完全オリジナル作品だ。
主人公の田上湖音波を演じるのは、今回が月9初主演となる橋本環奈。撮影序盤の手応えから吉田鋼太郎との親子共演の裏側、岐阜弁の難しさ、そして2026年に挑戦してみたいことまで、率直な思いを語ってもらった。
「緊張よりワクワクが大きかった」月9主演に意気込み
――これまで多くの作品に出演されてきた橋本さんですが、月9主演は今回が初めてなんですよね。
橋本環奈(以下、橋本):純粋にすごく楽しみでした。私自身、小学生の頃からいろんなドラマを観てきましたが、月9も観ていた作品がたくさん。でも緊張というよりはむしろ「この枠でどんな作品を届けられるんだろう」というワクワクのほうが大きかったです。脚本の根本ノンジさんの言葉も、とても自然に身体に入ってくるんです。セリフが自分の中にスッと落ちてくる感覚があって、とても演じやすいなと感じています。
――すでに撮影は進んでいると伺いましたが、現場の雰囲気や、ここまでの手応えはいかがですか?
橋本:現場の雰囲気はめちゃくちゃいいです! 明るい方が多いんです。基本、みんなずっと喋ってる(笑)。昨日も脳神経外科チームのスタッフルームみたいなところで、向井(理)さんや宮世(琉弥)くんたちとずっとくだらない話をしていました。北海道のおすすめジンギスカンの店を教えてもらって「絶対行きたい!」って盛り上がったり、向井さんが相撲好きなので、その動画を見ながらああだこうだ話したり。本番直前まで喋っていたのに、(撮影が始まった途端)向井さんが難しいカタカナの薬品名をスラスラ言っていて、みんなで「滑舌よすぎない!?」と盛り上がったりで! 本当に他愛もない会話ばかりなんですが、その距離の近さがすごく心地いいんです。撮影を始めてまだ1週間くらいでここまで気兼ねなく話せるようになる現場って、なかなか珍しい気がします。
――吉田鋼太郎さんとは『今日から俺は!!』(日本テレビ系)でも共演されていましたが、親子という関係で共演するのは初めてですよね。
橋本:鋼太郎さん、本当に面白い方なんです。段取りやテストの時点でスタッフさんが笑っちゃうくらい(笑)。一緒にお芝居していると、なんというか“血が繋がっている感じ”があって。「こんなにスムーズに親子の空気が作れるんだ」と驚くくらい。撮影もどんどん巻きで終わってしまうんです。食堂のシーンで私を大声で呼び止める場面があったのですが、ただ呼ぶだけのシーンなのに面白すぎて(笑)。「こんなに声を張っただけで笑わせられるんだ!」と驚きました。監督も楽しくなっちゃったみたいで、「じゃあもう、この2人のやり取りはアドリブでいきましょう」とおっしゃってて。まさに最高の親父です(笑)。
――田上湖音波という人物についてはどのような印象がありますか?
橋本:湖音波は個性的なキャラクターで、明るくて、その場にいるだけで空気をガラッと変えてしまうような存在です。演じていても場を動かす力を持っている役なので、自然と気持ちが引っ張られるというか。それに、湖音波と似ている部分も意外と多いんです。例えば、アサヒビールを飲みながらガハガハ笑う”みたいなト書きは、「あれ? (根本)ノンジさん、私のこと言ってるのかな」と思ったくらい(笑)。普段の私も、もちろん真面目に考えるところはあるけど、あまり細かいことを気にしすぎず、気楽に受け止められるタイプで。そこは湖音波すごく近い感覚だなと感じました。
「混ざってるな……」博多弁が染みついた身体で挑む岐阜弁
――湖音波は岐阜弁を話しますが、方言についてはどんな難しさを感じていますか?
橋本:私は福岡出身なので、博多弁のイントネーションが身体に染みついているんです。岐阜弁とはリズムも上がり下がりも全然違うので、その調整がなかなか難しいです。お父さん役の鋼太郎さんは大阪のご出身なので、鋼太郎さんも「そこ、ちょっと違うよね」と気づいてくださったり。細かいニュアンスの差が本当に大きいんです。力が入ると、どうしても博多弁っぽい岐阜弁になってしまう瞬間があって、自分でも「これ混ざってるな……」と感じることがあります。特に「たわけ!」のセリフはすごくたくさん出てくるんですけど、稽古の段階ではロートーンで練習していたのに、実際に声を張ってみると「あれ? 違うかも」と思うこともあって。だからその都度、方言指導の先生がそばにいてくださって、「今のニュアンス合ってますか?」と確認しながら細かく直していく作業をしています。
――試行錯誤しながら積み上げているんですね。
橋本:そうですね。やっぱり何度も口にして、自分の言葉として馴染ませるしかないんだろうなと思っています。音が合っていても、自分の身体に馴染んでない言葉って、喋った時にどこか違和感があるんですよね。だから岐阜弁に関しては「ひたすら繰り返す」というのが大事だなと毎日感じています。
――岐阜弁の中で、お気に入りのフレーズはありますか?
橋本:なんだろう……やっぱり一番出てくる「たわけ!」ですね。最初は「言えるかな?」と思っていましたが、撮影が進むうちにどんどん馴染んできて、今では自然に口から出てくるようになりました(笑)。
――これまでにも医療ドラマに出演されたご経験がありますが、医療ドラマならではの面白さや醍醐味は、どんなところに感じていますか?
橋本:医療ドラマって、やっぱり面白いですよね。自分でも「どこがそんなに惹かれるんだろう」と考えることがありますが、病院は誰にとっても身近な場所なんです。その生活に直結したリアルさが大きいと思います。それに、綺麗事ではなく、命を救う現場だからこそ、どこかヒーローのようなカッコよさがあるなと感じています。実際に自分がオペをすることはありませんが、演じることで垣間見える緊張感や尊さにすごく惹かれる部分があります。
医師役を演じるのは初めてではありませんが、前に出演した医療ドラマともまた違う難しさを感じています。専門用語のセリフはもちろん、オペシーン一つひとつに「この判断が別の症状を誘発してしまうかもしれない」「全身麻痺を招くリスクがある」といった緊張感がある。脳って、今でも解明されていない部分が多いですよね。それでも先生方は、患者さんを救うために日々勉強して、意見交換して、医療の未来を更新している。その姿を見ると、本当に希望を感じるし、そこが医療ドラマを観る楽しさにもつながっているんじゃないかなと思います。
――今回は“元ヤン”という設定ですがご自身の中に、ヤンキー“らしさ”を感じる瞬間はありますか?
橋本:私自身にヤンキー的な部分はあまりないのかなと思ってます(笑)。でもヤンキーの持つ真っ直ぐさとか、嘘のない言葉とか、命を張ってひとつの道に向かっていく覚悟は「カッコいいな」と思います。それは自分と似ているというより、「こういう人に憧れるな」という気持ちに近いです。やっぱり湖音波は、患者さんに対しても仲間に対しても、一切ブレずに突き進むので、その誠実さに魅力を感じます。