『ちょっとだけエスパー』は“愛する”意味を教えてくれた 視聴者の物語にもなった最終回
ドラマ『ちょっとだけエスパー』(テレビ朝日系)とは、世界を、愛する人を、そして自分自身を救う物語だった。最終回「Sì, amore. 」で、小さな1匹の蜂=文太(大泉洋)は未来を、今を変えていく。
※本稿は最終回のネタバレを含みます
12月24日、クリスマスマーケットを舞台に繰り広げられる文太たちにとって最後の戦い。市松(北村匠海)、紫苑(新原泰佑)、久条(向里祐香)たちを落下してくるLEDによる事故死から救うことだったが、そこにEカプセルを何粒も食べ、自暴自棄になった四季(宮﨑あおい)が乱入し、文太と文人(岡田将生)、2人の“ぶんちゃん”を殺すことを計画する。
人はなぜ、人を殺そうとするのか。それは、自分自身を愛せなくなったからだ。必要とされていない人間だと悟った円寂(高畑淳子)が因縁の男・結城(吉田鋼太郎)への復讐心を再燃させたのも、1000万人の命と天秤にかけられた四季が“ぶんちゃん”の殺害を宣言したのも全て。幸せになりたかった、必要とされたかった、愛されたかった、愛したかった――。心の声とは裏腹に、将来の希望を捨てた投げやりな行動が、自分自身を狂わせ、人を傷つけていく。その象徴が、四季を救うことができずに、自責の念に駆られる兆(岡田将生)だったのかもしれない。兆自身もどうして生きているのかが分からなくなっていた。
“ちょっと”どころか、人を圧死させるほどの息へと進化してしまった四季の能力。彼女を止められるのは、自分自身を愛しそこねていたことに気づけた文太だけだった。これから四季が生きていく10年間はかけがえのない時間だ。そして、文太にとって四季と生きてきた半年間は一生分だった。「忘れてしまっても、相手が死んでも、愛は残る。ここまで真面目に言えたことがなかったけど、愛してる。四季を愛してる。四季がいる、この世界を俺は愛する」と文太は真っ直ぐに伝える。
頭上に落下する、無数のLEDパネル。そこにパチンと指が鳴らされ、第5話に登場した白い男(麿赤兒)が姿を現すのだ。彼の正体は、“京”こと2070年の文人。副作用を止める薬を市松博士が開発した未来で、Eカプセルを飲んだ京の能力は、対象の相手を一時的に消すものなのだろう。その能力の強力さから、2070年ではEカプセルが改良されているのかもしれない。
ナノレセプターを飲んで半年間の記憶を失った四季は、病院で再会した文人と新たな人生を歩み始める。そこには清掃員に扮した文太たち「bit5(-1)」のミッション「四季と文人のラブラブ大作戦」による手助けがあった。Eカプセルの副作用に耐え、2025年を生き延びた文太たち。生きていくことが文太たちのミッション。文太たちが生き続ければ、未来の形は変わり、それが四季と世界と自分たちを救うこととなる。全ての刹那は、永久(とこしえ)に繋がっている、ということだ。
文太が高層ビルから身を投げるところから始まった『ちょっとだけエスパー』。世界を救うことを命じられた文太たちの物語は、気づけば視聴者自身の物語にもなっていた。生きるというミッションは果てしなく困難だけれど、永遠に続けなければならない。それが、愛するということの意味だから。
■配信情報
『ちょっとだけエスパー』
TVer、Netflix、TELASAにて配信中
出演:大泉洋、宮﨑あおい、ディーン・フジオカ、宇野祥平、北村匠海、高畑淳子、岡田将生
脚本:野木亜紀子
監督:村尾嘉昭、山内大典
エグゼクティブプロデューサー:三輪祐見子(テレビ朝日)
プロデューサー:貴島彩理(テレビ朝日)、山形亮介(テレビ朝日)、和田昂士(角川大映スタジオ)
音楽:髙見優、信澤宣明
制作協力:角川大映スタジオ
制作著作:テレビ朝日
©︎テレビ朝日
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