目黒蓮には“大きな夢”を託したくなる 『ザ・ロイヤルファミリー』で示す俳優としての真価
第8話以降は、耕造と母の思いを受け継いだ競走馬“ロイヤルファミリー”とともに、相続馬限定馬主として、自身が授かった使命を果たそうと奮闘する。若くして馬主となったその重責は計り知れない。なぜなら、耕一が託されたものは耕造の悲願の夢でもある有馬記念だけでなく、“ロイヤルハピネス”と“ロイヤルホープ”から継承された夢の続きでもあるからだ。それでも、これまで多くの困難と最後まで向き合うキャラクターを演じてきた目黒なら、無謀とも思えるロードマップさえも達成できるのではないかと、耕一の覚悟を決めた表情に一縷の望みを懸けてしまう。引退後のファミリーを養い続けるためにも「必ず勝たせたいんです」と絞り出すように口にする彼には、壮大な夢を託したくなる存在感があった。
本作ではナレーションも担当しているが、彼の落ち着いた声質は重厚な作品にも臆することなく響く。Snow Manとしての活動と並行していることも考えると、目黒が担当する役割の幅広さには目を瞠るものがある。
本作のプロデューサーを務める加藤章一は、映画『わたしの幸せな結婚』(2023年)やドラマ『トリリオンゲーム』(2024年/TBS系)でも目黒と仕事をともにしている。前述の『silent』『海のはじまり』と同様に、繰り返し同じプロデューサーから重要なキャラクターに指名されるのは、繊細な芝居に見惚れただけでなく、役者としての近影を見ておきたいと思わせる、恐るべき成長速度にあるのではないだろうか。
すでに目黒は2026年の注目作品への出演が続々と発表されている。『週刊少年ジャンプ』で連載中の人気漫画『SAKAMOTO DAYS』の実写映画では、伝説の殺し屋・坂本太郎役として主演に抜てき。身の回りにある日用品やその場にある武器ならざる道具を用いて戦う、坂本のトリッキーな戦い方が反映されるであろうアクションシーンに対して、目黒がどのようにアプローチするのか。期待は高まるばかりだ。
さらに2026年2月に公開する映画『ほどなく、お別れです』では、浜辺美波とW主演を飾る。故人や遺族と真摯に向き合う葬祭プランナーとして、家族や恋人を失った人々に静かに寄り添う漆原礼二も、微細な表情の変化で心の内に秘められた感情を伝える目黒の芝居が活かされるはずだ。
そして、特筆すべきはオーディションで役を射止めたという、ディズニープラスで配信される『SHOGUN 将軍』シーズン2への出演だ。第76回エミー賞にて史上最多の18部門を制覇した『SHOGUN 将軍』の10年後の世界が描かれる続編であることから、世界進出の大きな第一歩となるのは間違いない。
吸い込まれるような澄んだ瞳の揺らめきは、演じた役柄の動揺や葛藤を視聴者に伝える。その瞳は鋭く相手の本心を射抜くときもあれば、誠実な思いを伝える穏やかな眼差しとなって相手に寄り添うときもある。
どんな役柄を演じるときでも変わらないのは、瞳に奥に宿る覚悟と困難や不条理にも押しつぶされることのない存在感。だからこそ、どれだけ重い責任と役割を背負った役柄だろうと、彼にこのキャラクターを演じてほしい、そう夢や希望を託したくなるのだろう。
■放送情報
日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:妻夫木聡、目黒蓮、松本若菜、安藤政信、高杉真宙、津田健次郎、吉沢悠、木場勝己、尾美としのり、関水渚、長内映里香、秋山寛貴(ハナコ)、三浦綺羅、小泉孝太郎、黒木瞳、沢村一樹、佐藤浩市
原作:早見和真『ザ・ロイヤルファミリー』(新潮文庫刊)
脚本:喜安浩平
演出:塚原あゆ子、松田礼人、府川亮介
主題歌:玉置浩二「ファンファーレ」
プロデュース:加藤章一
協力プロデュース:大河原美奈、小髙夏実
編成:佐藤礼子、中野翔貴
製作:TBSスパークル/TBS
©TBSスパークル/TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/RoyalFamily_tbs/
公式X(旧Twitter):@royalfamily_tbs
公式Instagram:royalfamily_tbs
公式TikTok:@royalfamily_tbs